湯煙[語句情報] » 湯煙

「湯煙〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

湯煙の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
間がいずれも濡れた体を滑《なめ》らかに光らせながら、濛々《もうもう》と立ち上がる湯煙《ゆげむり》と窓からさす朝日の光との中に、糢糊《もこ》として動いている。その....
籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
て又ぴっしゃりと閉め切って古びた手あぶりの前に坐って、小さい鉄瓶の口から軽く噴く湯煙りのゆくえを見つめていた。 座敷の片隅には寝床が延べてあった。先月の末から....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
ととおどきめされッ」 寄ってはならぬといったものでしたから、聞くやいっしょで、湯煙たてながらしゃきり出たのは、だれでもない向こうっ気の伝六です。 「なんだと※....
草枕」より 著者:夏目漱石
間に、女の影は遺憾《いかん》なく、余が前に、早くもあらわれた。漲《みな》ぎり渡る湯煙りの、やわらかな光線を一|分子《ぶんし》ごとに含んで、薄紅《うすくれない》の....
趣味の遺伝」より 著者:夏目漱石
余《にはちあま》りの西洋人に遇《あ》った事がある。その折は十丈も煮え騰《あが》る湯煙りの凄《すさま》じき光景が、しばらくは和《やわ》らいで安慰の念を余が頭に与え....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
年の後に知った。 その頃の湯風呂には、旧式の石榴口と云うものがあって、夜などは湯煙が濛々として内は真っ暗。しかもその風呂が高く出来ているので、男女ともに中途の....
新版 放浪記」より 著者:林芙美子
になる男の子があるのよ。」 秋ちゃんは何のためらいもなく、乳房を開いて勢いよく湯煙をあげて風呂へはいった。 「うふ、私、処女よもおかしなものさね。私しゃお前さ....
みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
、白い壁が、十五|間間口、十間間口、八間間口、大きな(舎)という字をさながらに、湯煙の薄い胡粉でぼかして、月影に浮いていて、甍の露も紫に凝るばかり、中空に冴えた....
霧陰伊香保湯煙」より 著者:三遊亭円朝
霧陰伊香保湯煙 三遊亭圓朝 鈴木行三校訂・編纂 一 偖、お話も次第に申し....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
の勾欄《こうらん》までが、雪とうつり合って面白い。浴室の鎧窓《よろいまど》から、湯煙の立ちのぼるのも面白い。湯滝の音が、とうとうと鳴るのも歌になると思いました。....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
置いての芝居と、立ち上ったところを、先方もさるもの、パッと一度に水煙、ではない、湯煙を立てて、 「御用だ!」 果して、胡麻塩頭の左右に遊弋《ゆうよく》した五つ....
放浪記(初出)」より 著者:林芙美子
る男の子があるのよ。」 秋ちゃんは何のためらいもなく、乳房を開いてドポン! と湯煙をあげた。 「うふ……私処女よ、もおかしいものだね。私しゃお前さんが来た時か....
木曽御嶽の両面」より 著者:吉江喬松
がちらちらする。湯の香もする。人の声もする。ほっと息をついた。足も自ら急がれた。湯煙りが上り、靄が白くゆらゆら立ちのぼる中に百六十軒の人家が並んでいる、賑かに歌....
雷嫌いの話」より 著者:橘外男
く、鳴り轟いた。中央気象台のクソ野郎! 人にウソを吐きやがって! と私は、頭から湯煙りを立てた。 そして挙句の果てに、気絶せんばかりに、大鳴りに鳴り轟いたのは....