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「湯玉〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

湯玉の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
茶の本」より 著者:岡倉覚三
を通すによって名づける。今の風炉は名のみのこるものである。 一一 魚目――小さい湯玉を魚目にたとえる。 一二 縁辺の涌泉蓮珠――湯のにえあがるのを泉にたとえ、湯....
未開な風景」より 著者:宮本百合子
息をつめ、たぎり始めた湯の音をきいた。蓋を、元禄袖の袖口できると、俄《にわか》に湯玉のはじける音がはっきりした。 もう少し……もう少し……もう少し。あたりは暗....
新釈諸国噺」より 著者:太宰治
り、かねて奥様の仕方を見覚えていたとおりに、まず竈の下を焚きつけてお湯をわかし、湯玉の沸き立つを見て、その熱湯を盥にちょうど一ぱいとり、何の加減も見る迄も無く、....
貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
七重に――たなびかせた、その真中に、丸太|薪を堆く烈々と燻べ、大釜に湯を沸かせ、湯玉の霰にたばしる中を、前後に行違い、右左に飛廻って、松明の火に、鬼も、人も、神....
星女郎」より 著者:泉鏡花
す。 私はむっくり起直った。 ああ、硫黄の臭もせず、蒼い火も吹出さず、大釜に湯玉の散るのも聞えはしないが、こんな山には、ともすると地獄谷というのがあって、阿....
奥の海」より 著者:久生十蘭
」 と通るものに呼びかけている。なにを接待するのだろうとのぞいて見ると、白湯が湯玉をあげてたぎっているだけであった。 郡山をすぎると、いよいよ話通りの地獄め....
少年連盟」より 著者:佐藤紅緑
」 年少組は鼻をつまんで逃げだした。 「しんぼうしたまえよ」 やがてあわだつ湯玉の表面に、ギラギラと油が浮いてきた。 「さあさあくみだせくみだせ」 一同は....
食道楽」より 著者:村井弦斎
「ホイ失敗《しま》った」 ○湯豆腐を作るには鍋へ湯を沸かし、葛を少し溶き込み、湯玉の立つほど沸き立つ中へ豆腐を入れ、暫く煮ると豆腐が動き始めて浮き上らんとする....
美味い豆腐の話」より 著者:北大路魯山人
の上に豆腐を入れて煮る。昆布の長さ五、六寸。昆布は鍋に入れた場合、煮立ってくると湯玉で豆腐ののった昆布が持ち上げられる恐れがあるので、切れ目を入れておくようにす....
扉の彼方へ」より 著者:岡本かの子
うな味と風体で人を焦らすような蒟蒻が大好物でした。私は鉛のような憂鬱に閉されて、湯玉で蒟蒻の切れの躍るのが、土鍋の中から嘲笑うように感じられるので、吹き上げるの....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
に物ごころがありすぎていた。 ――今か。……今か。 額からだらりと落ちる汗も湯玉かと思えた。わずかな一瞬が、百年のように長いのだ。伊織は、眼を開きたくなった....
鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
書?」 「弦之丞の手へな」 「わかりました」 「と……」 「ハイ」 ぼろぼろと湯玉のような涙が走る。お綱は拭こうともしないで、 「ハ、ハイ……」と声を曇らせた....
黒部川を遡る 」より 著者:木暮理太郎
ある熱湯の池を湛え、其中央に径五寸位の円丘を築き上げて、其処から二、三尺の高さに湯玉を飛ばしている。或者は河底から湧き出る清水のように、池の底で沙をモクモク吹き....