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湯銭
「湯銭〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
湯銭の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「春の盗賊」より 著者:太宰治
かやりくりして、そんなに困ることもあるまいけれど、煙草、郵便代、諸雑費、それに、
湯銭、これらに、はたと当惑するのだ。私は、まだこの土地には、なじみが薄いし、また....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
鍵を昼夜帯へ突込んで、当分商売はさせません、と仕事に出る、 トかますの煙草入に
湯銭も無い。おなまめだんぶつ、座敷牢だ、と火鉢の前に縮まって、下げ煙管の投首が、....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
それじゃあ俺も一ッ風呂泳いで来ようか」 半七は更に表へ廻って、普通の客のように
湯銭を払ってはいると、まっ昼間の銭湯はすいていた。武者絵を描いた柘榴口のなかで都....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
または柚湯の日には、湯屋の番台に三方が据えてあって、客の方では「お拈り」と唱え、
湯銭を半紙にひねって三方の上に置いてゆく。もちろん、規定の
湯銭よりも幾分か余計に....
「田舎教師」より 著者:田山花袋
かった。帰りに、五十銭貸せと言ったが、清三の財布には六十銭しかなかった。月末まで
湯銭くらいなくては困ると言うので、二十銭だけ残して、あとをすっかり持たせてやった....
「新釈諸国噺」より 著者:太宰治
に銭湯に出かけて、眼まいがするほど永く湯槽にひたって、よろめいて出て、世の中にお
湯銭くらい安いものはない、今夜あそびに出掛けたら、どうしたって一両失う、お湯に酔....
「太郎坊」より 著者:幸田露伴
たしたが、やがて足を洗って下駄をはくかとおもうとすぐに下女を呼んで、手拭、石鹸、
湯銭等を取り来らしめて湯へいってしまった。返って来ればチャンと膳立てが出来ている....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
けむ、長火鉢の引出を明けて、渠に与うべき小銭を探すに、少年は傍より、 「姉さん、
湯銭のつりがあるよ、おい。」 と板敷に投出せば、(ちょいとこさ)は手に取りて、....
「塩原多助一代記」より 著者:三遊亭円朝
では物価が高直で、昔のお値段の事を唯今申すと嘘らしいような事があります。近頃まで
湯銭が八銅、髪結銭が廿八銅、寄席のお座料が四十八銅から五十銅でございましたが、当....
「かくれんぼ」より 著者:斎藤緑雨
を動かすがごとしという遍昭が歌の生れ変り肱を落書きの墨の痕淋漓たる十露盤に突いて
湯銭を貸本にかすり春水翁を地下に瞑せしむるのてあいは二言目には女で食うといえど女....
「明治時代の湯屋」より 著者:岡本綺堂
は先ず下町から始まって山の手に及び、それに連れて無用の柘榴石も自然に取払われた。
湯銭は八厘から一銭、一銭五厘、二銭と、だんだんに騰貴して、日露戦争頃までは二銭五....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
に帰って来て、間もなく、へい、お待遠、と台所へ持込んだけれども、お夏の心づけで、
湯銭を持たせて、手拭を持たせて、錫の箱入の薫の高いしゃぼんも持たせて、紫のゴロの....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
わしも激しいし……それさえ内へ強請りに来るがね。(母さん十日お湯へ入りません、お
湯銭たあせ、)と内証で来る。湯の具までもねえ、すれ切や、(母さん、……洗いがえ買....
「風呂を買うまで」より 著者:岡本綺堂
どうなったか知らない。 わたしが多年ゆき馴れた麹町の湯屋の主人は、あさ湯廃止、
湯銭値上げなどという問題について、いつも真先に立って運動する一人であるという噂を....
「快走」より 著者:岡本かの子
の思いつきは至極当然のことのように家の者に聞き流された。道子は急いで石鹸と手拭と
湯銭を持って表へ出た。彼女は着物の裾を蹴って一散に堤防へ駈けて行った。冷たい風が....