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湿布
「湿布〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
湿布の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
いた。玄鶴は、――玄鶴も時々は目を醒《さ》ましていた。が、湯たんぽが冷えたとか、
湿布が乾いたとか云う以外に殆ど口を利いたことはなかった。こう云う「離れ」にも聞え....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
げて、※々《そうそう》店の方へ退こうとした。その途端に障子が明くと、頸《くび》に
湿布《しっぷ》を巻いた姉のお絹《きぬ》が、まだセルのコオトも脱がず、果物《くだも....
「或る女」より 著者:有島武郎
……愛さんお前も聞いているだろうね」
そういって葉子は畳の上で貞世の胸にあてる
湿布《しっぷ》を縫っている愛子のほうにも振り向いた。うなだれた愛子は顔も上げず返....
「外套」より 著者:ゴーゴリニコライ
だ医術の恩恵にも浴せしめずして患者を見殺しにしたといわれないだけの申し訳に、彼は
湿布の処分を書いただけであった。しかもその場で、一昼夜半もすれば間違いなく駄目だ....
「縮図」より 著者:徳田秋声
て来るのを見ると、見られては悪いものか何ぞのように、ぴたりと閉じた。銀子は咽喉に
湿布をして、右の顎骨あたりの肉が、まだいくらか腫れているように見えたが、目にも潤....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
。彼ら特色の治療法であった。彼らの唾液は薬であった。暖かい舌で嘗め廻すことは、温
湿布に当たっていた。鏡葉之助の体には、窩人の血汐が混っていた。 窩人と獣とは友....
「爆薬の花籠」より 著者:海野十三
が痛みを訴える後頭部をかんたんに診察した。 「なあに、大したことはありませんよ。
湿布してあげましょう」 船医は、看護婦を呼んで、
湿布のことを命じているとき、入....
「博物誌」より 著者:岸田国士
になったらしいブリュネットのからだに、額からずっと尻尾の先まで、井戸水でしめした
湿布を当て、それをしょっちゅう取換えてやる。すぐ暖まってしまうからである。彼女は....
「一週一夜物語」より 著者:小栗虫太郎
で、その後は、暑さ寒さにつれ、右肩が痛むのです。それでパドミーニと交代に、患部の
湿布をかえておりました。甲斐甲斐しく、腕まくりしてギュッとタオルを絞る、すべてが....
「火の扉」より 著者:岸田国士
「帰りました」を言い、今朝ふかしたサツマイモの残りとホウレン草のみそしるがしらに
湿布を巻き、手首にバンソウコウをはり、鏡に向つて髪を結い直そうかどうしようかと考....
「決闘」より 著者:神西清
っては咳をするという、人嫌いの背の高い痩せた男だったが、これは婦人病だと言って温
湿布をすすめた。以前まだ愛のあった頃は、彼女が病気だと聞くと可哀そうにもなり心配....
「愛の為めに」より 著者:甲賀三郎
危険な時だとお医者さんが仰有った。肺炎には手当が肝心だと云うので、氷で冷したり、
湿布をしたり、吸入をしたり、私は夜も寝ずに介抱した。でも未だ先が見えない。私はど....
「城」より 著者:カフカフランツ
驚いてその手紙を彼女の手から奪い取った。「ミッツィ、脚がまたひどく痛み始めたよ。
湿布を換えなければならないね」
Kは立ち上がって、いった。
「それでは、おいと....
「大ヴォローヂャと小ヴォローヂャ」より 著者:神西清
クに笑い出し、それから泣き出すものなことを知っていた。家へ帰っても寝るどころか、
湿布だ水薬だと騒がなければなるまいと、心配であった。 「ブルルル!」ソフィヤ・リ....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
けない。妙にそのお、ここが痛んでね。」と反対にぼんの凹を片手で叩いて見せた。 「
湿布でもするといいんだがな。」 「いや、僕には按摩がいちばん利くんだがね。」 「....