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満庭
「満庭〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
満庭の前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「野分」より 著者:夏目漱石
る。中で女がききと笑っている。橋を渡りかけた高柳君はまた引き返した。楽隊が一度に
満庭の空気を動かして起る。 そろそろと天幕《テント》の所まで帰って来る。今度は....
「食魔」より 著者:岡本かの子
幕を向うへ弾ね潜って出る。そこは庭に沿った椽側であった。陽はさんさんと照り輝いて
満庭の青葉若葉から陽の雫が滴っているようである。椽も遺憾なく照らし暖められている....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
来た。障子を明けると、青空に映る花ざかりの大きな白木蓮が、夜来の風雨に落花狼藉、
満庭雪を舗いて居る。推参の客は主翁に対して久しぶりに嘘と云うものを吐いた。彼は葛....
「魚玄機」より 著者:森鴎外
、陳が旅行をした。玄機は跡に残って寂しく時を送った。その頃温に寄せた詩の中に、「
満庭木葉愁風起、透幌紗窓惜月沈」と云う、例に無い悽惨な句がある。 九年の初春に....
「病房にたわむ花」より 著者:岡本かの子
でした。が、やがて可憐な精神病患者が遊歩するのを認めて一種|奇嬌な美の反映をその
満庭の桜から受け始めました。無意味ににやにや笑うもの、天を仰いで合掌するもの、襦....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
ようだ。) この日、行程約二十マイルに及ぶ。当夕帰館すれば、明月露気を帯びて、
満庭ために白し。 帯拭、明月高懸安岳低。 (露をふくんだ江や山に夜気はさむく、南....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
寄せの上に姿を見せられた。 後醍醐が現われると、階下ではみな、ひれ伏したので、
満庭、衆人の背の波だった。およそ綺羅な波映えといっていい。 「…………」 帝は....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
睨して、 「ち」 と、癇性な舌打ちをもらした。――いまの大敗報にひしがれてか、
満庭、しゅんとしていたからだった。 その陰気さが、彼には堪らなく厭らしい。じつ....