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満更
「満更〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
満更の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
《ほうばい》たちに、後指《うしろゆび》をさされはしないかと云う、懸念《けねん》も
満更ないではなかった。が、それにも増して堪え難かったのは、念友《ねんゆう》の求馬....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
この男の酒癖《さけくせ》の一つだった。
「いかがですな。お蓮の方《かた》、東京も
満更《まんざら》じゃありますまい。」
お蓮は牧野にこう云われても、大抵は微笑を....
「道祖問答」より 著者:芥川竜之介
。朦朧《もうろう》とはしながらも、烏帽子《えぼし》の紐を長くむすび下げた物ごしは
満更《まんざら》狐狸《こり》の変化《へんげ》とも思われない。殊に黄色い紙を張った....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
手招《てまね》ぎをなすっていらしったと云う、今では名高い御話をすると、
「それは
満更《まんざら》嘘ではない。何度もおれは手招《てまね》ぎをした。」と、素直《すな....
「二つの手紙」より 著者:芥川竜之介
の友人が、後に私が発狂したと云う噂を立てたのも、当時の私の異常な行動を考えれば、
満更《まんざら》無理な事ではございません。しかし、私の発狂の原因を、私の妻の不品....
「運」より 著者:芥川竜之介
暮しにも差支えるような身の上でございましたから、そう云う願《がん》をかけたのも、
満更《まんざら》無理はございません。
「死んだおふくろと申すのは、もと白朱社《は....
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
濃い毛の束《たば》ね髪《がみ》、些《ち》と煤《すす》びたが、人形だちの古風な顔。
満更《まんざら》の容色《きりょう》ではないが、紺の筒袖《つつそで》の上被衣《うわ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
ん。――貴下の意地ひとつじゃありませんか。 ちっとは察して、肯いてくれたって、
満更罰は当るまいと、私思うんですがね。」 机に凭れて、長くなって笑いながら聞い....
「麻雀殺人事件」より 著者:海野十三
毒物については存じません」 赤くなったり青くなったりして星尾の物語るところは、
満更嘘であるとは思えなかった。彼はその変態性欲について大いに慚愧にたえぬと述べて....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
つくと、呀ッという間に、チュッと音をさせて、接吻を盗んだ。 「莫迦――」男爵は、
満更でもない様子で、ニヤリと笑って、真弓の逃げてゆくあとを、見送った。 それか....
「夜泣き鉄骨」より 著者:海野十三
なさるけどナ、組長さん」その噂を持ってきた職工は、慄えた眼を、わしに話したんだ。
満更、偽りを云っているんだたァ、思えねぇ」 いつの間にか、わし達の周りには、大....
「爬虫館事件」より 著者:海野十三
帆村の言葉はどうやら鴨田理学士の金的を射ちぬいたようであった。 「よろしい」彼は
満更でない面持で頷いた。「ではこの装置を開けましょうが、爬虫どもを別の建物へ移さ....
「久米正雄」より 著者:芥川竜之介
」と云い合いて、別れ別れに一方は大路へ、一方は小路へ、姿を下駄音と共に消すのも、
満更厭な気ばかり起させる訳でもない。 私も嘗て、本郷なる何某と云うレストランに....
「荒蕪地」より 著者:犬田卯
って何が怖いことあるもんか。だが、まア、聞け。あれだぜ、若旦那のいう工場かせぎも
満更でねえ案だで。これからの世の中は、何といってもその工業というやつさ。百姓では....
「消えた霊媒女」より 著者:大倉燁子
参りました。もうその頃私と彼女との間には一種の親しさがありました。 麗子だって
満更私の考えが分らないはずはありません。私の家は小人数の割に大きくて、殊に庭が広....