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満艦飾
「満艦飾〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
満艦飾の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「春の盗賊」より 著者:太宰治
ころはない。いや、あるかも知れない。ハゼくらいは、いるかも知れない。軍艦が在る。
満艦飾である。これを利用しなければ、いけない。ここに於いて多少、時局の色彩を加え....
「おしゃれ童子」より 著者:太宰治
いました。唐桟、角帯、紺の腹掛、白線の制帽、白手袋、もはや収拾つかないごたごたの
満艦飾《まんかんしょく》です。そんな不思議な時代が、人間一生のあいだに、一時は在....
「女百貨店」より 著者:吉行エイスケ
から拡声器に厚い唇をあてて流行歌を唱いだした。都会に宵暗《よいやみ》がせまって、
満艦飾をした女がタクシーを盛り場にとめると、貴婦人気どりで歩道を行ったり来たりし....
「オリンポスの果実」より 著者:田中英光
とうだい》のあたりを抜《ぬ》けて、船が岸壁《がんぺき》に向おうとすると、すでに、
満艦飾《まんかんしょく》をほどこした歓迎船《かんげいせん》が、数隻《すうせき》出....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
た花紅葉を軒にかざって、岸につないだ小船も、水に浮かんだ大船も、ことごとく一種の
満艦飾を施していた。帆柱には赤、青、黄、紫、その他いろいろの彩紙が一面に懸け渡さ....
「爆弾太平記」より 著者:夢野久作
一行も書いて無かったが、向うの本桟橋の突端に横付けしている慶北丸が新しい万国旗で
満艦飾をしている。五百|噸足らずのチッポケな船だったが、まるで見違えてしまってい....
「スポールティフな娼婦」より 著者:吉行エイスケ
新聞の三面を賑した事件。 それにもかかわらず、Matsu・ホテルの青い建物では
満艦飾のグロテスクな女が意気で猥雑なブラック・ボトンを踊り、天界ホテルでは白痴の....
「孟買挿話」より 著者:吉行エイスケ
線が寝床の夢を誘うように、彼女が夢のなかで、 宵闇せまればレジエント街の並木道を
満艦飾の女が馬車で カールトン・バアで卸して頂戴ネ と馭者に云う と、低唱しな....
「今年こそは」より 著者:宮本百合子
が多うございました。お正月の日本髪は吉例のようですが、ことしは、同じ日本髪でも、
満艦飾ぶりが目だちました。日本服の晴着でも、いくらか度はずれの大盛装が少くなかっ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
盛装を凝らし、菰《こも》を着るべきものは別仕立のきたないのを着、襤褸《つづれ》の
満艦飾を施し、今日を限りの哀れっぽい声を振りしぼって、 「右や左のお旦那様……た....
「火の扉」より 著者:岸田国士
こと以外を考えなくなつているからであつた。 ハザの上に盛り上つた稲の穂、軒端に
満艦飾のようにつるされた干ガキ、大豆の山、大根畑の波……秋のみのりの豊かさにほゝ....
「赤げっと 支那あちこち」より 著者:国枝史郎
ないが。これも昼間見た時の印象だが、何と上海という都会は、旗指物、看板とによって
満艦飾されて居ることか! 例えてみれば浅草の活動館街と新宿の盛り場とをウントコサ....