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溝
「溝〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
溝の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「十本の針」より 著者:芥川竜之介
悲しみや苦しみのほかにも)そこにそれらの人々を他の人々から截《き》り離す一すじの
溝《みぞ》は掘られている。それらの人々は阿呆《あほう》ではない。が、阿呆以上の阿....
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
した道も泥濘の絶えたことは一度もなかった。おまけに又その道の突き当りはお竹倉の大
溝《おおどぶ》だった。南京藻《なんきんも》の浮かんだ大
溝はいつも悪臭を放っていた....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
と云う事が明かになった。その内にもう秋風が立って、城下の屋敷町の武者窓の外には、
溝を塞《ふさ》いでいた藻《も》の下から、追い追い水の色が拡がって来た。それにつれ....
「少年」より 著者:芥川竜之介
保吉《やすきち》の四歳《しさい》の時である。彼は鶴《つる》と云う女中と一しょに大
溝の往来へ通りかかった。黒ぐろと湛《たた》えた大
溝《おおどぶ》の向うは後《のち》....
「或る女」より 著者:有島武郎
》が少しも変化しないで元のとおりなのがかえって不思議なようだった。じめじめした小
溝《こみぞ》に沿うて根ぎわの腐れた黒板塀《くろいたべい》の立ってる小さな寺の境内....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
は思い切って半分ガラスになっている引戸を開けた。滑車がけたたましい音をたてて鉄の
溝を滑《すべ》った。がたぴしする戸ばかりをあつかい慣れている彼れの手の力があまっ....
「星座」より 著者:有島武郎
には枯れ枯れになった苜蓿《うまごやし》が一面に生えていて、遊廓との界に一間ほどの
溝《みぞ》のある九間道路が淋しく西に走っていた。そこを曲りさえすれば、鼻をつまま....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
行くと、節婦橋という小さな木橋があって、そこから先にはもう家並みは続いていない。
溝泥をこね返したような雪道はだんだんきれいになって行って、地面に近い所が水になっ....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
れども私はそれを考えたいとは思わない。知る事と考える事との間には埋め得ない大きな
溝がある。人はよくこの
溝を無視して、考えることによって知ることに達しようとはしな....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
人の側室を置くことになりました。それからの私達の間には前にもまして、一|層大きな
溝ができて了い、夫婦とはただ名ばかり、心と心とは千|里もかけ離れて居るのでした。....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
の論理の異るのは唯こう云う一点だけだった。しかしそれは少くとも僕には越えられない
溝に違いなかった。…… 「けれども光は必ずあるのです。その証拠には奇蹟があるので....
「狂女」より 著者:秋田滋
が、その年の秋のことである。山※をまた一羽射とめたのだが、そいつが木の枝の繁った
溝のようなところに落ちて見えなくなってしまった。で、僕はやむなくその獲物を拾いに....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
て弁当をつかっている百姓の一団を見かけると、一片の麪麭をねだった。そして二人は、
溝のふちにしょんぼり肩を並べて坐って、黙々とそれを食べていた。 夫婦の悲しい身....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
心臓は早鐘を打つようにどきどきした。ああ、いつかの小鳥の心臓! 私は子供の死体を
溝に投げ込んでそれを草で蔽うた。 それから、私は家に帰り、食事をした。食事は美....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
代にもう両国停車場や陸軍|被服廠に変ってしまった。しかし僕の小学時代にはまだ「大
溝」にかこまれた、雑木林や竹藪の多い封建時代の「お竹倉」だった。「大
溝」とはその....