溝泥[語句情報] » 溝泥

「溝泥〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

溝泥の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
義血侠血」より 著者:泉鏡花
だ」 「ばかにしないねえ」 美人は紙縷《こより》を撚《ひね》りて、煙管を通し、溝泥《どぶどろ》のごとき脂に面《おもて》を皺《しわ》めて、 「こら! 御覧な、無....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
行くと、節婦橋という小さな木橋があって、そこから先にはもう家並みは続いていない。溝泥をこね返したような雪道はだんだんきれいになって行って、地面に近い所が水になっ....
深夜の市長」より 著者:海野十三
抛りこんで、僕は車を捨てた。橋の袂から、濠割のなかを覗きこむと、昼間見れば真黒な溝泥の水を湛えた汚い水面が、両岸の工場の塀外にさし出た常夜灯の眩しい光に照り映え....
地中魔」より 著者:海野十三
に逢った。大地震があってネ、地中から吹き上げられたところが、日本橋の下のあの臭い溝泥の川の中サ」 大辻老は、目の前に、百貨店が埋り、その反動で自分たちが吹き上....
鷭狩」より 著者:泉鏡花
か。そうか、分った。夢がどうした、そんな事は木片でもない。――俺が汝等の手で面へ溝泥を塗られたのは夢じゃないぞ。この赫と開けた大きな目を見ろい。――よくも汝、溝....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
。まことによけいなことです、平地に波瀾を起すのはまだよいが、溝の中を掘りさげて、溝泥《どぶどろ》を座敷の中に蒔《ま》き散らすようなことをして、そうして世間という....
黒百合」より 著者:泉鏡花
緒を切らすと跣足で駆歩行く、袖が切れれば素裸で躍出る。砂を掴む、小砂利を投げる、溝泥を掻廻す、喧嘩はするが誰も味方をするものはない。日が暮れなければ母親は帰らぬ....
星女郎」より 著者:泉鏡花
紳士は、附元から引断れて片足ない、まるで不具の蟋蟀。 もう、一面に算を乱して、溝泥を擲附けたような血の中に、伸びたり、縮んだり、転がったり、何十人だか数が分り....
丹下左膳」より 著者:林不忘
など、もっとも貧しい人達がこのトンネル長屋にあつまって、いつもその狭い路地には、溝泥《どぶどろ》の臭気と、物のすえたしめっぽいにおいとともに、四六時中尖った空気....
南国太平記」より 著者:直木三十五
従兄弟《いとこ》味方、な、従兄弟同士ってこのことだ、同じ長屋にいたから味方で、泥溝泥《どぶどろ》長屋にいたから味方でないってこともござんすまい。益満さんが、すっ....
つづれ烏羽玉」より 著者:林不忘
かけて、表にはまた一人新手が助けに出たようだ。 帝釈《たいしゃく》丹三である。溝泥《どぶどろ》を呑んだ腹いせに、眼玉を三角にしてがなり出した。 「えこうっ、爺....
艶色落語講談鑑賞」より 著者:正岡容
られるともさらに語られたが、それはたしかにそうといえようが、玉の井や亀戸のような溝泥の匂いがなく、何より組織が大がかりなので、何となく「大籬《おおまがき》」とい....
式部小路」より 著者:泉鏡花
ぶりやがって笑かしやがらい。こう聞いとくんねえ、私アね、お嬢さんの下さるんなら、溝泥だって、舌鼓だ、這い廻って甞めるでさ。 土百姓の酒じゃ嬉しくねえ。ヘッ、じ....
日和下駄」より 著者:永井荷風
み見る時、しばしば黙阿弥《もくあみ》劇中の背景を想い起すのである。 かくの如き溝泥臭《どぶどろくさ》い堀割と腐《くさ》った木の橋と肥料船や芥船《ごみぶね》や棟....
すみだ川」より 著者:永井荷風
くろ》な汚ない泥土《でいど》の底を見せている上に、四月の暖い日光に照付けられて、溝泥《どぶどろ》の臭気を盛《さかん》に発散している。何処《どこ》からともなく煤烟....