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「溝渠〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

溝渠の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
高山の雪」より 著者:小島烏水
水のように低きに就く性質を有するから、山の皺や襞折《ひだ》の方向に従って、それを溝渠として白い縞を織る。平生はあるとも見えぬ皺が、分明に出来る。そればかりではな....
時代閉塞の現状」より 著者:石川啄木
しょう》論において実人生に対する態度を一決して以来)の傾向は、ようやく両者の間の溝渠《こうきょ》のついに越ゆべからざるを示している。この意味において、魚住氏の指....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
欲求とが軒輊するという考えは根柢的に間違っている。若しそこに越えることの出来ない溝渠があるというならば、私は寧ろ社会生活を破壊して、かの孤棲生活を営む獅子や禿鷹....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
窟仕掛の粉磨水車が造られ、これは寒冷の泉から来る水の力で運転され、その水は一つの溝渠を通って大洋の中へ流れ込むようになっていた。これは明らかに、水の作用によって....
映画雑感(Ⅰ)」より 著者:寺田寅彦
に見える。それは写真器械というものと人間の目というものの間に存する一つの越え難き溝渠の存在を忘れているように私には思われることである。 急速な運動を人間の目で....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
どれほど友情の本質に関する寂寞と煩悶とが続いたことだろう。今もなおその踰えがたき溝渠を思えば暗然とする。それは「三之助の手紙」のなかに詳しく書いたはずである。あ....
雑記(Ⅰ)」より 著者:寺田寅彦
な屋根をもった舞台の三方を廻廊のような聴衆観客席が取り囲んで、それと舞台との間に溝渠のような白洲が、これもやはり客席になっている。廻廊の席と白洲との間に昔はかな....
役人の頭」より 著者:末弘厳太郎
っていなければ、法律と国家との威信はとうていこれを保ちがたい。法律と社会との問に溝渠ができることは国家の最も憂えるところでなければならない。かくのごときは国家の....
嘘の効用」より 著者:末弘厳太郎
く社会人心の傾向に十分に追随することができず、その結果「社会」と「法令」との間に溝渠ができた場合に「法令」をしてともかくも「社会」と調和せしめるものはただ一つ「....
幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
き、三、四月頃もまるで梅雨の如く、びしょびしょと毎日の雨で、江戸の市中は到る処、溝渠が開き、特に、下谷からかけ、根岸、上野|界隈の低地は水が附いて脛を没し、往来....
幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
その時分の私の住居は、下谷西町三番地(旧立花家の屋敷跡の一部)にありました。大溝渠を前にした一室を仕事場にして、其所で二年ぶりに手入れをした道具を備え、いよい....
幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
他へ行っていたのでしたが、帰って見ると、店は粉微塵になっている。池へ落ちた群衆が溝渠鼠のようになって這い上がって、寒さに震えている。父は散らばった熊手を方附けて....
墓が呼んでいる」より 著者:橘外男
……回り一里半ばかりの、小さな湖なんですけれど、水門を作ってそこから開墾地まで、溝渠が拵えてありますのよ。ほんとうは、開墾地へ水を送るために作ったんですけれど、....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
げて、 昔からの神様にお縋申しましょう。 広き遊苑。真直に穿ちたる大|溝渠。 老いさらぼひたるファウスト沈思しつゝ歩めり。 望楼守リンケウス....
芸術と社会」より 著者:津田左右吉
また欧洲と同じような社会状態が生ずるために、随分激しく変化してゆくから、この間の溝渠は段々狭くなるには違いない。 Ruskin であったか、智識ある社会になれ....