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「溝鼠〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

溝鼠の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
新版 放浪記」より 著者:林芙美子
だけど所詮《しょせん》はどこへ行っても淋しい一人身なり。小屋が閉まると、私は又|溝鼠《どぶねずみ》のように部屋へ帰って来る。「誰かお客さんのようでしたが……」小....
超人鬚野博士」より 著者:夢野久作
斉に「キャーッ」と湧起ったと思うと、若い女の白い肉体が四ツ五ツ、揚板をメクられた溝鼠みたいに、奥の方へ逃込んで行った。 お客様を見てキャーッと云う手はない。し....
近世快人伝」より 著者:夢野久作
長くなり、毎日毎日チャンチャンチャンチャンと花魁船を流している中に五十両の金が、溝鼠のように逃げ散らかってしもうた。仕方なしにモトの木賃宿に帰って来ると泣面に蜂....
地獄の使者」より 著者:海野十三
わせて貰おう」と検事は言葉を続けた。「瓦斯中毒のために、この家の主人鶴彌と一匹の溝鼠《どぶねずみ》とが同時に心臓麻痺で死んだとする。そういうことは如何なる状況の....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
て、むしろ、この往来止めの制札を打砕いて、掘りっぱなしの溝《どぶ》の中を泳いで、溝鼠《どぶねずみ》のように向うへ這《は》い上ったら痛快だろう、と思っただけで、往....
貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
に展けて海がある。その反対の、山裾の窪に当る、石段の左の端に、べたりと附着いて、溝鼠が這上ったように、ぼろを膚に、笠も被らず、一本杖の細いのに、しがみつくように....
古狢」より 著者:泉鏡花
くるくると動くようで、因果車が畝って通る。……で悚気としたが、熟と視ると、鼠か、溝鼠か、降る雨に、あくどく濡れて這っている。……時も時だし、や、小さな狢が天井へ....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
に残ってる捏粉《ねりこ》を包丁で取ってる母親――前日河に泳いでるところを見かけた溝鼠《どぶねずみ》――柳の枝でこしらえたいと思っていた鞭《むち》……。それらの記....
名人地獄」より 著者:国枝史郎
いなくば、彼奴はただの鼠じゃねえ。巻物をくわえてドロドロとすっぽんからせり上がる溝鼠だ」 腕を組んで考え込んだ。 剽軽者で名の通っている、女中頭のお杉という....
剣侠」より 著者:国枝史郎
作か! チェッ、赤尾の百姓か!」 峯吉が憎さげにそう叫んだ、 「百姓とは何だ、溝鼠。……杉さん、こいつらア猪之松の乾兒で……」 それ以前から杉浪之助は、担が....
狂歌師赤猪口兵衛」より 著者:夢野久作
、シャックリ息を詰めて行きよります。ちょうどアノ日の目を恐れて流し先を潜りまわる溝鼠のような息苦しい一生を送る憐れさ。何のために金を溜めるやらわからぬお話で……....
放浪記(初出)」より 著者:林芙美子
で嬉しかった。 だが、所詮はどこへ行っても淋しい一人身。小屋が閉まると、私は又溝鼠のように塩たれて部屋へ帰った。 「誰かお客さんのようでしたが……。」 叔母....
ノンシャラン道中記」より 著者:久生十蘭
検査に来た。そこでやむを得ない行きがかりからその部落の族長《カボラル》を、(この溝鼠《サロオ》!)とどなったんだ。その検査官はアルサスの営林大区へ栄転して、間も....