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溯
「溯〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
溯の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
準に区別しますか? こう言う問題を解決する為には、これも度たび申し上げた価値論へ
溯《さかのぼ》らなければなりません。価値は古来信ぜられたように作品そのものの中に....
「さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
のタッシェン・ブウフの中に書いてある。――
これは近頃の事であるが、遠く文献を
溯《さかのぼ》っても、彼に関する記録は、随所に発見される。その中で、最も古いのは....
「星座」より 著者:有島武郎
た粘土質の県道を、難渋《なんじゅう》し抜いて孵化場《ふかじょう》の方へと川沿いを
溯《さかのぼ》っていった。
風は死んだようにおさまっている。それだのに枝頭を離....
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
ったのである。サンキス号はその夜は海上に漂泊し、この翌日の夜になってテームズ河を
溯江し、ロンドン港に入った。そこで博士と三名の生残った助手と、それに水戸を交えた....
「赤耀館事件の真相」より 著者:海野十三
ものは、勝見であるに違いはないのです。勝見を訊問することにより笛吹川画伯の頓死に
溯り、赤耀館事件の一切が明白になると考えて、夜の目も睡られぬほどに興奮していまし....
「食魔」より 著者:岡本かの子
の探索でもあった。その人が好くという食品を味ってみて、その人がどんな人であるかを
溯り知り当てることは、もっとも正直で容易い人物鑑識法のように彼には思えた。 鍋....
「河明り」より 著者:岡本かの子
結婚を知らせるにも気易かった。若い学者との結婚の仕度は着々運んで行った。 「川を
溯るときは、人間をだんだん孤独にして行きますが、川を下って行くと、人間は連を欲し....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
霊に関するお話を順序よく申上げて見たいと存じます。それにつきては、少し奥の方まで
溯って、神様と人間との関係から申上げねばなりませぬ。 昔の諺に『人は祖に基き、....
「最古日本の女性生活の根柢」より 著者:折口信夫
事に与った女性の、神事以外の生活をとり扱うているのであった。事実において、我々が
溯れる限りの古代に実在した女性の生活は、一生涯あるいはある期間は、かならず巫女と....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
、我知らず手足を折られでもした者のように呻き声を放った。 私はそこで河をひとが
溯るように、自分の歩んで来た一生をこうして逆に辿って行った。私は自分がその名さえ....
「悪因縁の怨」より 著者:江見水蔭
御前、如何です、そう致そうじゃア御座いませんか」 「美人はともかく、船で川崎まで
溯るのは思いつきだ。早速、その用意をして貰おう」 三 お嬶が呼び....
「層雲峡より大雪山へ」より 著者:大町桂月
也。 明くれば一行の外、温泉の若主人塩谷忠氏、画家吉積長春氏加わりて、層雲峡を
溯る。峰上に奇巌多し。巨巌の上部に小巌立ちて、あたかも人の子供を負えるが如きもあ....
「古事記」より 著者:太安万侶
津《みつ》の埼と言うのです。そうして皇居におはいりにならないで、船を曲げて堀江に
溯らせて、河のままに山城に上つておいでになりました。この時にお歌いになつた歌は、....
「婦人の過去と将来の予期」より 著者:小川未明
たしかに、このロマンチシズムの御影であった。 それは、ちょうど、今から、ずっと
溯った二十年前であった。日本の青年男女に、はじめて交際の自由が唱道せられた時分で....
「和製椿姫」より 著者:大倉燁子
追って来た青年は私と差向いの椅子に腰かけて、静かに語り出した。 「話は二十年前に
溯らなければなりません。みよりというもののない美耶子は生きるために夜の女になった....