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溯る
「溯る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
溯るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「河明り」より 著者:岡本かの子
結婚を知らせるにも気易かった。若い学者との結婚の仕度は着々運んで行った。 「川を
溯るときは、人間をだんだん孤独にして行きますが、川を下って行くと、人間は連を欲し....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
かくて静子の口から分ったのは小林貞の暴行事件の真相だけだった。 話は三年前に
溯る。 真白に咲き乱れた庭の沈丁花の強烈な香が書斎に押寄せて来て、青春の悩みを....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
屋が売ったのなら請合いである。 行いて聞くには汐入の渡しを綾瀬の流れに入って、
溯ることしばし、そこに月影の砕くる瀬ありて、彼の愛すべき声を賞すべし。半宵船をも....
「白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
を一つ超えて、東俣の谷へ来ると、未だ若葉、青葉の新緑が、生々しかったが、ここまで
溯ると、濶葉、細葉は、透明を含んだ、黄の克った、明るみのある嫩い緑で、霧の雫にプ....
「辞書」より 著者:折口信夫
である。言語を覚えさせるために、言語をあらわす文字を集めている。これは平安朝まで
溯ることができる。『倭名類聚鈔』『新撰字鏡』『伊呂波字類抄』、皆そうである。その....
「宝島」より 著者:佐々木直次郎
て、あのサーベル傷のある日に焦けた老水夫が、初めて私たちの家に泊りこんだ時まで、
溯ることにする。 私は、彼が、船員衣類箱(註三)し、そうしながらひとりで口笛を....
「省察」より 著者:デカルトルネ
観念は他の観念から生まれることができるにしても、これはしかしこのようにして無限に
溯ることができないのであって、遂にはいわば或る第一の観念に達しなくてはならず、し....
「三筋町界隈」より 著者:斎藤茂吉
の歌などを作ったといったが、作歌動機の由縁を追究して行けば、遠く明治二十九年まで
溯ることが出来るのである。歌は歌集『あらたま』の大正三年のところに収めてある。 ....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
、我知らず手足を折られでもした者のように呻き声を放った。 私はそこで河をひとが
溯るように、自分の歩んで来た一生をこうして逆に辿って行った。私は自分がその名さえ....
「詩語としての日本語」より 著者:折口信夫
て来たが、此も無い言葉で、寧、「くちぶれ」とでも言うべきところであった。王朝まで
溯る事の出来る用語例は、「くちをすふ」と言うのもあり、もっと適当な古今に通じた言....
「悪因縁の怨」より 著者:江見水蔭
御前、如何です、そう致そうじゃア御座いませんか」 「美人はともかく、船で川崎まで
溯るのは思いつきだ。早速、その用意をして貰おう」 三 お嬶が呼び....
「水垢を凝視す」より 著者:佐藤垢石
ころを溯上するものである。沖上りをやることは甚だ稀である。岸といっても河原寄りを
溯る。なるべく崖寄りを避けたがる。だから、鮎の上った道筋を見ると、稲妻形即ち千鳥....
「平ヶ岳登攀記」より 著者:高頭仁兵衛
袋を、降雨や増水があっても流失や湿らぬ用意して置いて行った、只見川に別れて白沢を
溯る、徒渉というよりは全く川を蹈むのである、約一時間半でその日の露営地と予定して....
「層雲峡より大雪山へ」より 著者:大町桂月
也。 明くれば一行の外、温泉の若主人塩谷忠氏、画家吉積長春氏加わりて、層雲峡を
溯る。峰上に奇巌多し。巨巌の上部に小巌立ちて、あたかも人の子供を負えるが如きもあ....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
また同時に、この詩型があれほど流行を見るようになったのも万葉時代からそれほど遠く
溯るものでなかったろうことも注意されてよいことなのである。現象的に見ても、長歌・....