溶ける[語句情報] » 溶ける

「溶ける〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

溶けるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
雲が黒すぎるでねえか」 「さし出口はおけやい」 そして君たち二人は顔を見合って溶けるように笑みかわす。寒さはしんしんと背骨まで徹って、戸外には風の落ちた空を黙....
殺人の涯」より 著者:海野十三
私が苦心して得たところの研究であった。 しかし死体を抛りこんだとて、砂糖が湯に溶けるようにズルズルと簡単に溶けては呉れない。相当の時間が必要である。そして充分....
爬虫館事件」より 著者:海野十三
開けるや、蟒の消化液では溶けない金歯をすっかり外して別にすると、もうこれで全部が溶けるものと安心して此の第三タンクに入れました。そこで永年貯蔵して置いたニシキヘ....
怪塔王」より 著者:海野十三
砲をさかんにうっているのでございます。が飛行機や軍艦が、それにあたってとろとろと溶けるかとおもいのほか、どうしたものか、敵は一向平気なのでございます」 「そんな....
大空魔艦」より 著者:海野十三
ているじゃないか」 「それはそうだけれど、あの辺だって、夏になると、すこしは氷が溶けるのだよ、氷山なんか割れるしね」 「そうだ。――」と清君は首をひねって、 「....
みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
褄さきの運びとともに、またうなだれて、堪兼ねた涙が、白く咲いた山茶花に霜の白粉の溶けるばかり、はらはらと落つるのを、うっかり紙にうけて、……はっと思ったらしい。....
古狢」より 著者:泉鏡花
よ)と紅糸で端縫をしたのが、苦痛にゆがめて噛緊める唇が映って透くようで、涙は雪が溶けるように、頸脚へまで落ちたと言います。」 「不可い……」 外套氏は、お町の....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
が無うて馴れぬからだ。こりゃ、」 と肩へむずと手を掛けると、ひれ伏して、雪女は溶けるように潸然と泣く。 十四 「陰気だ陰気だ、此奴滅入って気が浮....
黒百合」より 著者:泉鏡花
愛想にいって目も放さず見ていたが、 「ヤ、半分ばかり食べやがった。ほら、こいつあ溶けるんだ。」 「まあ、ここに葉のまわりの針の尖に、一ツずつ、小さな水玉のような....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
を持たない料理人である。衣を透して、肉を揉み、筋を萎すのであるから恍惚と身うちが溶ける。ついたしなみも粗末になって、下じめも解けかかれば、帯も緩くなる。きちんと....
春昼後刻」より 著者:泉鏡花
んか。こんな時には、肌が蕩けるのだって言いますが、私は何んだか、水になって、その溶けるのが消えて行きそうで涙が出ます、涙だって、悲しいんじゃありません、そうかと....
J・D・カーの密室犯罪の研究」より 著者:井上良夫
法で一番いいのは例の有難い氷を使用するやつで、氷柱を紐の支えにしておくと、これが溶けると同時に紐が落ちてかかる。またドアがはげしく閉されると一緒に只それだけで内....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
らちらと土間へ来た容子を一目、京都から帰ったばかりの主人が旅さきの知己、てっきり溶けるものと合点して、有無を部屋へ聞かないさきから、すぐこうお通りはいいのですが....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
いて取って、病人に含ませるんだが、部屋の中はさすがに鉄瓶の湯気や炬燵のぬくもりで溶けるだろう。階子段を上り下りするように、日に幾度屋根へ出入りをしたか知れないと....
二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
すように、始終|懐ろに入れたり肩へ載せたり、夜は抱いて寝て、チョッカイでも出せば溶けるような顔をして頬摺したり接吻したりした。猫めの方でも大甘垂れに甘垂れて舌を....