溷濁[語句情報] » 溷濁

「溷濁〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

溷濁の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
冬の蠅」より 著者:梶井基次郎
射がある。日蔭は日表《ひなた》との対照で闇のようになってしまう。なんという雑多な溷濁《こんだく》だろう。そしてすべてそうしたことが日の当った風景を作りあげている....
草枕」より 著者:夏目漱石
おのが住む世を、かく観《かん》じ得て、霊台方寸《れいだいほうすん》のカメラに澆季溷濁《ぎょうきこんだく》の俗界を清くうららかに収め得《う》れば足《た》る。この故....
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
輩ひそかに思うにこの状態は決して胎毒や疱瘡のためではない。彼の眼玉がかように晦渋溷濁《かいじゅうこんだく》の悲境に彷徨《ほうこう》しているのは、とりも直さず彼の....
」より 著者:徳田秋声
毎日荒れつづいて、はっきりした日とてはなかった。笹村はちょうどまた注射の後の血が溷濁したようになって、頭が始終重く慵かった。酒も禁じられていた。 牛込のその下....
弟子」より 著者:中島敦
て来ようとは、今更望めなかったが、しかし、もはや不思議に子路はいらだたない。世の溷濁《こんだく》と諸侯の無能と孔子の不遇とに対する憤懣《ふんまん》焦躁《しょうそ....
ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
……その正木博士を奇怪にも、既に一箇月前に自殺していると明言した若林博士の意識|溷濁的、心理状態の秘密……。 ……そうして……それ等の秘密の裏面に隠れて、それ....
旅愁」より 著者:横光利一
つき、千鶴子の現れるのを探しながらも、傍の真紀子の不機嫌さにホールの美しさも今は溷濁して感じられた。 「あら、あれは高さんだわ。」 と突然そのとき真紀子は下の....
人魂の一つの場合」より 著者:寺田寅彦
で横に流出するように見えることがある。これはたぶんまつ毛のためやまた眼球光学系の溷濁のために生ずるものかと思われる。それで、事によると「火の玉」の正体がこれであ....
厄年と etc.」より 著者:寺田寅彦
た絵の色彩は眼のさめるほど美しく保存されているのに、後の方になるほど絵の具の色は溷濁して、次第に鈍い灰色を帯びている。 絵巻物の最後にある絵はよほど奇妙なもの....
塵埃と光」より 著者:寺田寅彦
ている事が分る。この偏光の度や配置を種々の天候の時に観測して見ると、それが空気の溷濁を起すようないわゆる塵埃の多少によって系統的に変化する事が分る。 この偏光....
古傷」より 著者:蘭郁二郎
いた。 第三高調波を描く放送音楽…… 蓄電器のように白々しく対立した感情……溷濁した恋情と、ねばねばする空気…… 『なに考えてんだィ、さあもう一杯』 内田....
肌色の月」より 著者:久生十蘭
だすどころか、昨夜はバンガローで朝まで眼をあいていた」 久美子は重苦しい意識の溷濁《こんだく》の中で覚醒した。 眼をあいて瞬きをしているつもりなのに、冥土の....
智恵子の半生」より 著者:高村光太郎
声が四辺に満ちるほど、私達はますます強く結ばれた。私は自分の中にある不純の分子や溷濁の残留物を知っているので時々自信を失いかけると、彼女はいつでも私の中にあるも....
安死術」より 著者:小酒井不木
? その時にも安死術を行ったのですって? いいえ、腸窒扶斯の重いのでして、意識が溷濁しておりましたから妻は何の苦痛もなく死んで行きました。妻の死後、母が代って義....