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「溺愛〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

溺愛の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:芥川竜之介
夫人が貞操を守られざるは、この上なおも申上ぐべき必要無き事と存じ候。されど貴下は溺愛の余り……」 今西の顔はこの瞬間、憎悪《ぞうお》そのもののマスクであった。....
或る女」より 著者:有島武郎
のきずなにつながれたのだとさえ考えられもした。葉子はまた自分の父がどれほど葉子を溺愛《できあい》してくれたかをも思ってみた。葉子の経験からいうと、両親共いなくな....
星座」より 著者:有島武郎
授かった運命のように思っているらしかった。末子の純次に対しては無智な動物のような溺愛《できあい》を送っていた。その母が清逸に対しての態度は知れている。 「もう鮭....
河明り」より 著者:岡本かの子
のこと判りません」 だが、こういう口争いは、しじゅうあることだし、そして、私を溺愛する叔母であることを知ればこそ、苦笑しながらも、それを有難いと思って、享け入....
恭三の父」より 著者:加能作次郎
過ぎぬけれど酔うた時には何となく感慨の深いことを言う。父としての情は決して単なる溺愛的のものではない。淋しい様な悲しい様な哀れな父の心情が強い言葉の裏にかくれて....
姉川合戦」より 著者:菊池寛
れないし、淀君など云うものは、生れて来なかったかも知れん。 つまり秀吉は、後年溺愛した淀君を抹殺すべく、小谷城攻略を進言したことになる。しかし、淀君が居なかっ....
黄鳥の嘆き」より 著者:甲賀三郎
記はそれから二三ヶ月経ったもので、野村は既に生れていたのである。 どうも二川の溺愛ぶりには恐れ入った。僕もむろん生れた子を可愛いとは思うが、二川の真似は出来な....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
ある。そう思えばますますいとしくなる。揃いも揃って美しい七人の姉妹の間に、父母の溺愛にちやほやされて、荒い風に揉まれず育った君は素直な、柔らかな稚松であった。思....
青鬼の褌を洗う女」より 著者:坂口安吾
本は亡びるんだよ。ほんとにまア、トンマな子だったらありゃしない。 母は私の妹を溺愛のあまり殺していた。盲腸炎で入院して手術の後、二十四時間絶対に水を飲ましては....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
されたところに脈絡がある。統合がある。わたくしはいつになってもこの断片的なものを溺愛する。 恐ろしいちからで虚空を押移る鱗雲、 西から東へ沈黙の颶風が歩む、 進....
柳営秘録かつえ蔵」より 著者:国枝史郎
に足るものがあったが、しかしお杉に比べては、その美しさが及ばなかった。で、家斉は溺愛した。しかるに日を経るにしたがって、家斉はお杉の心の中に、秘密のあることに感....
光り合ういのち」より 著者:倉田百三
を抱くことが出来よう。父が私たちを労苦に鍛えることのできなかったのはそのあふるる溺愛のためであった。世間の塵にしませなかったのはみすみす掌中の玉が汚すに忍びなか....
安吾人生案内」より 著者:坂口安吾
が常識を度外視して、そんなに思いつめているなら結婚させたいと考えたのは、いかにも溺愛に盲いがちな母親らしい自然さでもあり、両親の気持のくいちがいや論争など、浄ル....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
密のものと考えられる傾向がありますが、その弊害か、兄弟だという観念は、全く安易な溺愛を与えて、平常はそう何とも思いませんが、何か不利益、不名誉なことでも兄弟の一....
魂の喘ぎ」より 著者:大倉燁子
どんな者になるか分らないというので、公高は生れると直ぐ私から引き離され、祖父母の溺愛の中で我まま一杯に六つまで育てられ、戻った時は手のつけられないやんちゃになっ....