滅入る[語句情報] » 滅入る

「滅入る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

滅入るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
白蟻」より 著者:小栗虫太郎
ませんけれど、身体だけは、このとおり、すこやかでございますから」 その時、あの滅入るような黄昏が始まっていた。八ヶ岳よりの、黒い一|刷毛《はけ》の層雲の間から....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
というのも……」 そのカークの言葉を身に滲むように聴きながら、座間はくらい海の滅入るような潮騒とともに、ひそかに咽びはじめていたのだ。 * そ....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
離れている。声の聞こえる筈がない。錯覚かな? それに相違ない。……ああ今夜も気が滅入る。誰か俺を呼んでいる」 その時、戸を叩く音がした。 「はいれ」 と彼は....
前哨」より 著者:黒島伝治
その夜は、浜田達にとって、一と晩じゅう、眠ることの出来ない、奇妙な、焦立たしい、滅入るような不思議な夜だった。 あくる日も、中山服は、やはり、その家の中にいた....
流線間諜」より 著者:海野十三
行う。――」 そういって一同をズッと眺めた。 すると、また別の、まるで地下に滅入るような音楽が起って来た。――ギギィッという軋るような音がして、途端に一同の....
琵琶伝」より 著者:泉鏡花
舎も田舎だ。どこに居た処で何の楽もねえ老夫でせえ、つまらねえこったと思って、気が滅入るに、お前様は、えらい女だ。面壁イ九年とやら、悟ったものだと我あ折っていたん....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
て最後に武運いよいよ尽きてのあの落城……四百|年後の今日思い出してみる丈でも気が滅入るように感じます。 戦闘が始まってから、女子供はむろん皆城内から出されて居....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
あって、十三塚と云う……一揆の頭目でもなし、戦死をした勇士でもない。きいても気の滅入る事は、むかし大饑饉の年、近郷から、湯の煙を慕って、山谷を這出て来た老若男女....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
ったのです。私はこれまでに死人の通夜にしばしば出向きまして、その時にはいつも気が滅入るような匂いに慣れていたものですが、この室では――実はわたしは女の媚めかしい....
絶景万国博覧会」より 著者:小栗虫太郎
節句の当日だけに、それが寮の人達には、何となく妖怪めいたものに思われていた。その滅入るような品々に、一歳の塵を払わせる刻限が近付いて来ると、気のせいかは知らぬが....
夜の構図」より 著者:織田作之助
していたというよりも、むしろ気が滅入っているためではなかったか。しかし、なぜ気が滅入るのか。信吉はきょとんとして窓外の白い雨足を眺めていた。 真夜中の電話につい....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
信用を失うか、でなければ健康をだめにするかしてしまうだろうと思って、わたしは気が滅入るのだよ……お取巻きのうちジョオンズだって実際あなたの弟を愛してはいないので....
港に着いた黒んぼ」より 著者:小川未明
ん集まって、みんなが目を自分の上に向けていると思うと恥ずかしくて、しぜん唄の声も滅入るように低くはなりましたけれど、そのとき、弟の吹く笛の音に耳を傾けると、もう....
梟の眼」より 著者:大倉燁子
て家へ帰ったが、外套を脱ぐのも億劫な位、がっかりした。考えれば、考えるほど、気が滅入る。 「ああ、あのダイヤが欲しい!」 溜息と一緒に、ツイ口に出してしまって....
私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
、もちろん知人もいない。金は仁川までの切符で全くなくなった。船が進むにつれて気は滅入るばかりである。 私はふと隣りの話声に気がついた。十七、八のきれいな娘をつ....