滅却[語句情報] » 滅却

「滅却〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

滅却の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
と同じアナニアスの洗礼を受けて、ヨセフと云う名を貰った。が、一度負った呪は、世界滅却の日が来るまで、解かれない。現に彼が、千七百二十一年六月二十二日、ムウニッヒ....
風の便り」より 著者:太宰治
いしていて慾も得《とく》も無く、誰をも怨《うら》まず、誰をも愛さず、それこそ心頭滅却に似た恬淡《てんたん》の心境だったのですが、あなたに話かけているうちに、また....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
ば、更におもしろい。 こんなことを一々かぞえたてていたら際限がない。 心頭を滅却すれば火もおのずから涼し。――そんなむずかしい悟りを開くまでもなく、誰でもお....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
が噴き飛ばす灰を定めて地蔵様は被られたことであろう。如何でした、其時の御感想は?滅却心頭火亦涼と澄ましてお出でしたか? 何と云うても返事もせず、雨が降っても、日....
読書法」より 著者:戸坂潤
し得るというのだ。そして之が現代の生きたヒューマニズムであろうと云う。 「自己を滅却した謙虚な人間が出来上った人間或は完成した人間の姿として、個人主義者という言....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
かいせんこくし》が、 安禅必不須山水《あんぜんかならずしもさんすいをもちゐず》滅却心頭火自涼《しんとうめつきやくひもおのづからすずし》 の偈《げ》を唱えて火....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
なればすべて生命あるものは系統的存在であって、系統の破壊はただちに生命そのものの滅却であるからである。これじつに空疎なる主観と貧弱なる周囲とがもたらす生命の沈滞....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
主《あるじ》快川国師《かいせんこくし》は楼門の上に登り、火に包まれながら、心頭を滅却すれば火もおのずから涼しといって、従容《しょうよう》として死に就いた豪《えら....
現代唯物論講話」より 著者:戸坂潤
、独立なる実体となる結果、それに否定的に対立するものとしての個の独立なる主体性を滅却する。従って種と個との否定的統一としての類の絶対的全体性も認められなくなる。....
現代日本の思想対立」より 著者:戸坂潤
主張する一億円逓減の健全財政主義は破綻を生ずるに至った、従って増税の意義は非常に滅却されたことになる」というのである。 軍事費はあれだけ必要で、農村救済ももっ....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
いてゆくのであった。その上、修道院の中で既に数年間呼吸してきた空気は、彼の個性を滅却さして、ついに何らかのいい行ないをせざるを得ないようにしてしまったのである。....
地上」より 著者:島田清次郎
。雪はしきりもなく降った。いかなる恐ろしい異変を潜めているか分らないような、世界滅却の予感のような、あわただしい静寂が空間に充ちていた。二人はまた歩き出した。士....
妖怪学」より 著者:井上円了
真腫発するがごとし。これは、体中すでにその兆候あれども、常には全体の感覚のために滅却せられて、ことにこれを感ぜざるに、夢中には他の感覚休息するをもって、よく感知....
上野」より 著者:永井荷風
ノ妓楼トイフモノハ則曰ク松葉屋、曰ク大黒屋、曰ク小川屋今東楼ニ改ム曰ク吉田屋後ニ滅却ス現在ノ吉田屋ハ自異ル曰ク金邑屋後ニ岩村楼ニ革メ又吉野屋ニ革ム此ノ他|局店《....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
えて居るです。そこでその問答の底意は、己れが煩悩の心を打ち破って己れが心の地獄を滅却するために勇気|凜然たる形をあらわし、その形を心の底にまで及ぼして解脱の方法....