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滑っこい
「滑っこい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
滑っこいの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
るかも知れない」 お蝶は一生の勇気をふるい起して、息を殺しながらそろりそろりと
滑っこい畳の上を忍んであるいた。ふるえる手先が障子にかかると、出会いがしらに一人....
「乳房」より 著者:宮本百合子
の静けさである。タミノが万年筆の先を妙に曲げて持って字を書いている。減ったペンと
滑っこい紙の面とが軋《きし》みあって、キュ、キュと音をたてている。 そのキュ、....
「伸子」より 著者:宮本百合子
ぜか、この寛大らしい返答から真実を感じず、夫の狡《ずる》さのようなものを感じた。
滑っこい、解ったような解らないようなこの答えかたは、時によって、伸子自身にも向け....
「日は輝けり」より 著者:宮本百合子
ものだろうか?」 あっちこっち触っていた手先が、フト髪に触った。 その冷かに、
滑っこい感じが、第一に彼女の注意を引いた。次いでその量、その……長さ! に思い至....
「敵討札所の霊験」より 著者:三遊亭円朝
ぬが宜い。どんなに堅いお方でも其処は男女の情合で、毛もくじゃらの男でも、寝惚れば
滑っこい手足などが肌に触れゝば気の変るもの、なれども山之助お繼は互に大事を祈る者....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
つ丁寧に二重の薄紙に包まれていたが、その紙をめくってみるとなかからは黄熟した肌の
滑っこい、みずみずしい大粒の実が現われた。 梨好きな私は、早速その一つを皮をむ....
「クリスマス・カロル」より 著者:ディケンズチャールズ
が古えの予言者の鞭のように現れて来て、総ての人間を丸呑みにしてしまった。若しこの
滑っこい瓦がいずれも最初は白無地に出来ていて、その表に取りとまりのない彼の考えの....
「石ころ路」より 著者:田畑修一郎
空気が部落の上を通っていた。大きい石で畳んだ路が、日に照らされて艶々して、何だか
滑っこい工合に町の中へ上っている。しばらくして、僕たちはその方へ降りて行った。 ....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
この「機会の市場」だ。緑いろの羅紗を張った長方形の卓子のうえでは、丁抹鰻のように
滑っこい皮膚をもった好機の女神――このお方は、しじゅうあの大刈入れ鎌を手にしてる....
「反抗」より 著者:豊島与志雄
が出て来た。不思議にその姿ははっきり見えた。皆筋骨の逞しい男だった。半ば裸体で、
滑っこい餅肌《もちはだ》をしていた。それが、袂を捉え、手首を取り、はては首っ玉に....
「女客一週間」より 著者:豊島与志雄
、裏から覗かれた心地で、落付けなかったのだ。壁の高みで、玳※の甲羅が笑っている。
滑っこい、人を馬鹿にした笑いかただ。島村はやたらに煙草をふかした。キミ子は黙って....
「古木」より 著者:豊島与志雄
ました。美智子はまた手を差し出して、禿げた頭に、こんどは拡げた掌でさわりました。
滑っこい冷たい感じがしました。 その時、頭がぐらりところがって、夜具の襟から、....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
他の一部
わたし達はやさしい波のように体をゆすって、機嫌を取って、
この
滑っこい岩壁の、遠くまで鏡のように光っているのに身を寄せましょう。
鳥の啼声でも....
「美人鷹匠」より 著者:大倉燁子
お色はお白い方ではいらっしゃいません。それですのに、達也様は腺病質で皮膚が青白く
滑っこい、それにもう一つ、これだけは永久に秘密を守ろうと決心していたのですが、こ....