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滞り
「滞り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
滞りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
と、この場合葉子はつやにしみじみとした愛を感じた。清潔な血が細いしなやかな血管を
滞りなく流れ回っているような、すべすべと健康らしい、浅黒いつやの皮膚は何よりも葉....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
、机の向こうに開かれた窓から、冬が来て雪にうずもれて行く一面の畑を見渡しながら、
滞りがちな筆をしかりつけしかりつけ運ばそうとしていた。 寒い。原稿紙の手ざわり....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
地なところはある、あるけれども今度の事は自分に無理はない、されば家じゅう悦んで、
滞りなく纏まる事と思いのほか、本人の不承知、佐介も乗り気にならぬという次第で父は....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
とその当時言った。 それから十余年の歳月はしずかに流れた。逸作は四十二の厄歳も
滞りなく越え、画作に油が乗りかけている。「おとなしい男、あたくしのために何もかも....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
の客があっても、必ず、一室を明けておく、内証の珍客のために控えの席へ迎え入れて、
滞りなく既に夕餉を進めた。 されば夫人が座の傍、肩掛、頭巾などを引掛けた、衣桁....
「番町皿屋敷」より 著者:岡本綺堂
気の早いお客人はそろそろ押掛けてまいらりょうも知れぬ。お菊は奥へ行って、お座敷は
滞りなく片付いているかどうか、念のために見廻って来やれ」 十太夫に指図されて、....
「瘤」より 著者:犬田卯
ど全部の地主たちは、かつて左翼華やかなりし頃、この瘤の献身的な強圧のお蔭を被って
滞りなく小作米を取り立てていた。 自小作農にいたっては遺憾ながら烏合の衆という....
「あゝ二十年」より 著者:上村松園
いました。私は三室戸伯のお導きを得まして、作を携えまして、先般御所に参候いたし、
滞りなくこれをお納め申し上げましてございます。 最初、この作品は表装をつけて差....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
やまなかった。火のそばを離れたせいか、夜の寒さが俄かに身にしみて来た。 「御用は
滞りなく相済みましたか。」と、采女は歩きながら小声で訊いた。 「奥方のおどろき、....
「勘平の死」より 著者:岡本綺堂
いうわけでございます。みな様方も御覧の通り、六段目の幕があきまして、腹切りまでは
滞りなく済みましたが、若旦那の勘平が刀を腹へ突っ込んで、手負いの台詞になってから....
「妖怪学」より 著者:井上円了
これを山より海に通ずる溝と定む。その溝深きを吉相とす。なんとなれば、深ければ水の
滞りなく流るるがごとく、人の一生の運もふさがることなかるべしとの意なりという。ま....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
さないように書いてあったので、一般の評判もすこぶる悪かった。菊五郎自身もどうにか
滞りなく舞台に出ているというだけのことで、ふだんの活気はまったく見られなかった。....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
は、家に資産があると否とを問わず一家の運命希望を我が子の立身出世に繋いでるから、
滞りなく無事に学校を卒業してドコへか就職してくれなければ安心もし満足もしなかった....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
刃が立なかった。而も権次が無闇に振廻す松明の火に恐れて、彼は忽ち逃げ去った。畚は
滞りなく底に着いた。 塚田巡査は先刻から待侘びていたらしい、暗い中から慌しく進....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
算編成を更に一層困難ならしむるであろう』と。 結局資金は支出されず、予算編成は
滞りなく済み、七十五万人のドイツ人は飢餓のため死亡した!」(アントン・チシュカ著....