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「滲み出す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

滲み出すの前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
河明り」より 著者:岡本かの子
並大抵じゃないわね」 私は揶揄いながら、横を向き、ハンカチを額へ持って行って、滲み出す汗を抑えた。 娘は真身に嬉しさを感ずるらしく、ちょっと籐椅子を私の方へ....
古き小画」より 著者:宮本百合子
そうもない消極的な持堪えが相手にあった。 喉の渇きが激しくなり、粘りこい膏汗が滲み出すにつれ、スーラーブは、少し焦り始めた。彼は、渾身の力を振搾り、相手を上手....
長崎の印象」より 著者:宮本百合子
一瞥したが、フォークを取り上げようともせず、いきなり体じゅうで大きな大きな、涙の滲み出すように大きな伸びをした。 「――ああ、ねぶたいです……」 眠たいのはも....
時計」より 著者:宮本百合子
ばしてよ。などかけあった。 自働電話を出て、少し行った時、私は俄に額際から汗の滲み出すような気持になり、殆ど駈けて、今出て来た自働電話の箱へ戻り、そのままとび....
チューインガム」より 著者:寺田寅彦
振興したのであった。現在のチューインガムも、それが噛み尽されて八万四千の毛孔から滲み出す頃には、また別な新しい日本文化となって栄えるのかもしれないのである。(昭和七年八月『文学』)....
平賀源内捕物帳」より 著者:久生十蘭
胸から血を滴《た》らした。……里春は象の腹の窪みの中で死んでいたというから、血が滲み出すなら胸からなどではなく腹から滴《したた》るはずだ。このわけが、お前にわか....
寄席行灯」より 著者:正岡容
旧東京の寄席風景のいくつかが、きっと、儚《はかな》い幻灯の玻瑠絵《はりえ》ほどに滲み出す。 京橋の金沢――あすこは、新秋九月の宵がよかった。まだ、暮れきって間....
随筆 新平家」より 著者:吉川英治
きのう、ぼくらも身に舐めて思い知らされたことである。自然、それらの体験も書く上に滲み出すかと思う。 歴史小説についての意見がしきりに近ごろいわれるにつれて、史....