滲み出る[語句情報] » 滲み出る

「滲み出る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

滲み出るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
俄か天気の三月末の暖気は急にのぼって、若い踊り子たちの顔を美しく塗った白粉は、滲み出る汗のしずくで斑らになった。その後見を勤める師匠の額にも玉の汗がころげてい....
愚人の毒」より 著者:小酒井不木
学部教授|片田博士である。職務とは言いながら、片肌脱ぎたいくらいな暑さを我慢して滲み出る汗をハンカチに吸いとらせている姿を見たならばだれでも冗談でなしに、お役目....
日は輝けり」より 著者:宮本百合子
った。興奮し通していた心持が、次第に落着くに従って、彼は、ほんとうの衷心から涙の滲み出るような思い出や、考えに耽り始めた。 それは、ちょうどその月の決算にほど....
艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
家から、それに折紙がつけてもらいたかったのだ。 エルマン氏は、禿げ上った前額に滲み出る汗を無雑作に手帛で拭きとりながら、ぶっきらぼうに答えた。 「ここは音楽会....
樹蔭雑記」より 著者:宮本百合子
偉く暑い日である。 紐育《ニューヨーク》などはどんなだろうと思い遣った丈で汗が滲み出る。 息もつまりそうにうっそうと茂ったエルムの梢を、そよりとも動かす微風....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
いのです。できないのをお銀様は、自棄《やけ》に吸い上げ吸い上げしたものですから、滲み出る血を、すっかり口中に吸い取りました。紙を開いて、それを吐き出して見ると、....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
ました。そのうちに彼女はとうとう決心して、ピンでわたしの腕を軽く刺して、そこから滲み出る血を吸いはじめました。二、三滴しか飲まないのに、彼女はもうわたしが眼を醒....
陳情書」より 著者:西尾正
い気温が、浅草中の歓楽街を包み、些も風の動かない為に凝乎《じっと》して居ても汗が滲み出る位で、さりとて何時寒く成るとも限らぬ不気味な天候なので、思い切り薄着にな....
人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
十郎の趣向からして、幕切の見得の際には照明を暗くさせ、眼だけを白く抜いて、真赤に滲み出る毒血の凄みを、内部に塗った、燐で浮き出させる仕掛けにしたのである。そして....
南国太平記」より 著者:直木三十五
、刀を振廻した。その刀尖が、四ツ本の頬から鼻へかけて掠めた。すっと、薄赤い線が、滲み出ると、忽ち、血の粒が、湧き上って来た。それを、ちらっと見ながら、七瀬は、倒....
健康と仕事」より 著者:上村松園
と私は思わず口の中で呟いたが、体はそのままふんわりと浮き上り体中から冷たい汗が滲み出るのを感じ……それっきり私の体はその場へ倒れてしまったらしいのである。 ....
飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
いて※の為に左の股を傷けられた。加之も二度目の傷は刃物で突かれたと見えて、洋袴に滲み出る鮮血の温味を覚えた。究竟彼は左の片足に二ヶ所の傷を負っているのであった。....
河豚は毒魚か」より 著者:北大路魯山人
都合よくできていて、解明はすこぶる簡単だ。要は血液に遠ざかることである。わずかに滲み出る血液くらいでは致死量に至らないようだ。むしろ醍醐味となって、美味の働きを....
秋の鬼怒沼 」より 著者:木暮理太郎
に日の指す気配がして、そこにもここにも華やかな影が認められたが、それは霧の中から滲み出る今を盛りの紅葉であった。 昨日下りた所へ登りついてまじまじと周囲を見廻....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
中に取りては、唯一の室堂のみが解放されたる天地である。其処に夏になると美しい衣に滲み出る黴のような、周囲に不調和な平原の陋習の迹が汚なく印せらるるにしても、其他....