滲出[語句情報] » 滲出

「滲出〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

滲出の前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
新生」より 著者:島崎藤村
女らしい感想めいたきれぎれの言葉が彼女の閉塞《とじふさ》がったような小さな胸から滲出《しみだ》して来ていた。 「どんなに僅《わず》かでも『主我』のこころのまじっ....
魔像」より 著者:蘭郁二郎
この写真を焼付けて見ると、正に死に墜ちる瞬間の、物凄い形相が、画面からぞわぞわと滲出て、思わずゾッとしたものが、背筋を駛るほどの出来栄えだった。 「すごいぞ、大....
ルクレチウスと科学」より 著者:寺田寅彦
けるようにも聞こえる。人間も初めのうちはやはり地から生まれ、そうして地の細孔から滲出する乳汁によって養われていた。しかしその後に地がだんだん老衰して来たから、も....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
る気勢である。 「水差が漏るのかな……」 亀裂でも入っていたろう。 「洋燈から滲出すのか……」 可厭な音だ。がそれにしては、石油の臭がするでもなし……こう精....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
この歌は、余り苦心して作っていないようだが、声調にこまかいゆらぎがあって、奥から滲出で来る悲哀はそれに本づいている。旅人の歌は、あまり早く走り過ぎる欠点があった....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
盲腸、行き止まり、腐蝕した丸天井、臭い水たまり、四壁には湿疹《しっしん》のような滲出物《しんしゅつぶつ》、天井からたれる水滴、暗黒、実にバビロンの町の胃腸であり....
腐った蜉蝣」より 著者:蘭郁二郎
明りの中に、薄墨を流したような、襞を持った海が、ふっくらと湛えられ、空には早くも滲出た星が、次第にうるみを拭ってキラキラと輝きはじめていた。 然し、その素的な....
ロボットとベッドの重量」より 著者:直木三十五
ドの上へ起上った。湿《うる》おいの、無くなった眼、眼瞼《まぶた》の周囲に、薄暗く滲出《にじみだ》している死の影、尖った頬骨、太くせり出したこめかみの血管――そん....