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滲透
「滲透〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
滲透の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「日本山岳景の特色」より 著者:小島烏水
本アルプスにないものは、石灰岩質の大山嶺である、石灰岩が、地下の伏流や、地上から
滲透する水などのために、含有している炭酸を溶解され、内部から同地質の岩石を分解し....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
なユーモアなんだから。エーテルを噴霧状にして皮膚に吹きつけると、その部分の感覚が
滲透的に脱失してしまう。それを失神した人間の全身にわたって行うのだが、手の運動を....
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
部屋々々の柱が凍み割れる音を聞きながら読書でもしていると、実に寒さが私達の骨まで
滲透るかと思われる…… 雪の襲って来る前は反って暖かだ。夜に入って雪の降る日な....
「もの思う葦」より 著者:太宰治
て居る。この短篇集、「晩年」は、年々歳々、いよいよ色濃く、きみの眼に、きみの胸に
滲透して行くにちがいないということを。私はこの本一冊を創るためにのみ生れた。きょ....
「子猫」より 著者:寺田寅彦
かえて風呂場にはいって石鹸で洗滌を始めたが、このねばねばした油が密生した毛の中に
滲透したのはなかなか容易にはとれそうもなかった。 そのうちにもう生命の影も認め....
「映画芸術」より 著者:寺田寅彦
の芸術にはそれぞれの国民の国民的潜在意識がにじみ出している。映画でもこれは顕著に
滲透している。アメリカ映画はヤンキー教の経典でありチューインガムやアイスクリーム....
「夏目漱石先生の追憶」より 著者:寺田寅彦
あげたこともあった。時代をつけると言ってしょっちゅう頬や鼻へこすりつけるので脂が
滲透して鼈甲色になっていた。書斎の壁にはなんとかいう黄檗の坊さんの書の半折が掛け....
「自由画稿」より 著者:寺田寅彦
いうのである。びん入りの動物標本などで見受けるように、小動物の肉体に特殊な液体を
滲透《しんとう》させて、その液中に置けば、ある度までは透き通って見える。ウェルズ....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
かすかに湿気を帯びているのが感じられたが、これだけの水なら、ながいあいだに靴皮を
滲透して、幾らか底を濡らすにちがいないとは、誰でも容易にうなずき得る。じっさい、....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
のうえをおもいたもうて、その遊猟の有様に聯想し、それを祝福する御心持が一首の響に
滲透している。決して代作態度のよそよそしいものではない。そこで代作説に賛成する古....
「雑記(Ⅰ)」より 著者:寺田寅彦
は素人の私には分らない。しかしそこには確かに楽の中から流れ出て地と空と人の胸とに
滲透するある雰囲気のようなものがある。この雰囲気は今の文化的日本の中では容易に見....
「アインシュタイン」より 著者:寺田寅彦
極めて要を得ているのは勿論であるが、その行文の間に卑怯な迫害者に対する苦々しさが
滲透しているようである。彼に対する同情者は遠方から電報をよこしたりした。その中に....
「雷同性に富む現代女流画家」より 著者:上村松園
ます。作家がこうも猫の眼玉のように筆法を変えていては、とても自己本来の内心に深く
滲透した芸術を創り出すということは出来ません。誰かが片暈の手法を創めれば、即刻に....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
らその内奥の相にいたるまで、あらゆる部分は真実と見せかけの惑わしに充ちた不調和で
滲透されている。着ている衣裳の二重三重ものややこしさ――巨大なフウプ、堅い襟襞、....
「宝島」より 著者:佐々木直次郎
。この作が凡百の軽文学を遥かに抜いているのは、全篇の構成から措辞の末に至るまでに
滲透している作者の芸術的感覚と手腕とによってであろう。スティーヴンスンがイギリス....