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「滴る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

滴るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い：新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
適切なことを云って、部屋へ入ると、長火鉢の向うに坐った、飾を挿さぬ、Ｓ巻の濡色が滴るばかり。お納戸の絹セルに、ざっくり、山繭縮緬の縞の羽織を引掛けて、帯の弛い、....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
えそうに寂寞しながら、ばちゃんと音がした。ぞッと寒い。湯気が天井から雫になって点滴るのではなしに、屋根の雪が溶けて落ちるような気勢である。 ばちゃん、……ちゃ....
「春昼」より 著者:泉鏡花
唯何んとなく賢げに、恋も無常も知り抜いた風に見える。身体つきにも顔つきにも、情が滴ると言った状じゃ。 恋い慕うものならば、馬士でも船頭でも、われら坊主でも、無....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
冴えて、いささかも窶れない。憂えておらん。清らかな衣を着、新に梳って、花に露の点滴る装して、馬に騎した姿は、かの国の花野の丈を、錦の山の懐に抽く……歩行より、車....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
灰吹に薄い唾した。 この世盛りの、思い上れる、美しき女優は、樹の緑蝉の声も滴るがごとき影に、框も自然から浮いて高い処に、色も濡々と水際立つ、紫陽花の花の姿....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
人も、神田川の小舟さえ、皆黒い中に、紅梅とも、緋桃とも言うまい、横しぶきに、血の滴るごとき紅木瓜の、濡れつつぱっと咲いた風情は、見向うものの、面のほてるばかり目....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
い、旅の秋を覚えたので。――小村さんは一旦外へ出たが、出ると、すぐ、横の崖か巌を滴る、ひたひたと清水の音に、用心のため引返して、駅員に訊いたのであった。 「その....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
、御堂の前も寂寞としたのである。 提灯もやがて消えた。 ひたひたと木の葉から滴る音して、汲かえし、掬びかえた、柄杓の柄を漏る雫が聞える。その暗くなった手水鉢....
「第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
」 「あ。」 と顔を上げると、誰も居ない。炬燵の上に水仙が落ちて、花活の水が点滴る。 俊吉は、駈下りた。 遠慮して段の下に立った女中が驚きながら、 「あれ....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
ばかりは、露のようなよだれを垂し、 「牛肉のひれや、人間の娘より、柔々として膏が滴る……甘味ぞのッ。」 は凄じい。 が、かく菌を嗜むせいだろうと人は言った、....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
ていたと云う。 時に、途中ではさもなかった。ここに休む内に、怪しき気のこと、点滴る血の事、就中、姫の数の幻に一人多い事が、いつとなく、伝えられて、烈しく女ども....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
億劫で、我ながら随意にならぬ。 ちょうど、この折だったが、びしょびしょ、と水の滴るような音がし出した。遠くで蚊の鳴くのかとも聞えるし、鼠が溢したかとも疑われて....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
に呻吟く。 とても堪らん。 気のせいで、浅茅生を、縁近に湧出る水の月の雫が点滴るか、と快く聞えたのが、どくどく脈を切って、そこらへ血が流れていそうになった。....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
漕ぎ去る船の波も平らに月の光り水にも空にも満ちて川風に音ある時となりて清涼の気味滴る計りなり。人に怪しめられ巡査に咎められ懊悩としたる気分も洗い去りて清くなりぬ....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
藉として韓紅。 狂気のごとくお杉が抱き上げた時、お若はまだ呼吸があったが、血の滴る剃刀を握ったまま、 「済みませんね、済みませんね。」と二声いったばかり、これ....