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漁る
「漁る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
漁るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「海異記」より 著者:泉鏡花
見えて、戦いているのである。 心弱き女房も、直ちにこれを、怪しき海の神の、人を
漁るべく海から顕われたとは、余り目のあたりゆえ考えず。女房は、ただ総毛立った。 ....
「食魔」より 著者:岡本かの子
に阻まれる花|芥の渚の緑の色取りは昔に変りはないけれども、魚は少くなったかして、
漁る子供の姿も見えない。堤の芽出し柳の煙れる梢に春なかばの空は晴れみ曇りみしてい....
「河明り」より 著者:岡本かの子
らめて私は叔母と共に住む家庭の日常生活を普通に送り乍ら、その間に旅行案内や地図を
漁ることも怠らなかった。また四五日休みは続いた。 すると娘から電話がかかって来....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
沈したように呟くのだった。「とにかく、後の仕事は、君が珍蔵する十六世紀前紀本でも
漁ることだ。そして、僕等の墓碑文を作ることなんだよ」
「うん、その十六世紀前紀本....
「出家とその弟子」より 著者:倉田百三
しい精進と憧憬との間にまじめに一すじに煩悶したのだからな。森なかで静かに考えたり
漁るように経書を読んだりしたよ。また夕がたなど暮れて行く京の町をながめてあくがれ....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
、薄紙|一重透きます内は、血にも肉にも障りません。 侍女三 入道も、一類も、色を
漁るのでございます。生命はしばらく助りましょう。 侍女四 その中に、その中に。ま....
「楢重雑筆」より 著者:小出楢重
さは、実に厭世の感を少年の心に目醒めさせた。従って私は水泳の時間は欠席するか蛤を
漁る事によって、せめての鬱晴らしとしたものであった。 私の妻は何々水練場とかへ....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
面白いと思うから結局どれが日本一だかさっぱり判らなくなってしまう。その点、女色を
漁る色魔とか、食物を極端に味わうところの悪食家の心にも似ている。 何事によらず....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
っている。 人々が此所へ来ると野性と出鱈目をむき出しにして、もっと/\と興味を
漁るために揉み合う。球を投げ当てゝ取った椰子の実をその場で叩き割り、中の薄い石鹸....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
とのなかったまぼろしの社会というものに対して渇望していたので、実生活の間にそれを
漁ると同時に、わたしの幽霊の伴侶に長いあいだ逢えないでいるということに、漠然とし....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
彼らの日常の食物は木の実、草の根、鳥獣などで、彼らは勤勉によく働いて沢山の食物を
漁るのであった。湖水を中心に原始林は十里四方に拡がっていたが十里四方の大森林こそ....
「百喩経」より 著者:岡本かの子
間から並んで動いて行く小さい苫屋が見えた。あたたかな砂浜には人が多ぜいいかなごを
漁る網を曳いて居た。犬が吠え廻った。 船舷に頬杖を突いて一眠りした蒔蔵は痺れた....
「山吹」より 著者:泉鏡花
樹立に隠る。) 舞台しばらく空し。白き家鴨、五羽ばかり、一列に出でて田の草の間を
漁る。行春の景を象徴するもののごとし。 馬士 (樹立より、馬を曳いて、あとを振向....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
れ第一や。今夜から、流れて走るぞね。」 「質屋が駆落をしやしまいし。」 大潟で
漁る名物だ、と八郎が私に云った。 「幾干なの。」 「さあ、掛値は言わんぞね。これ....
「「ケット」と「マット」」より 著者:喜田貞吉
真似をしているのですと答えますと言われた。北海道に入り込んで、アイヌ相手に利益を
漁る程のものは、実際純樸なる彼らを欺いて、無価値なものを高価に売り付け、或いは酒....