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漁色
「漁色〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
漁色の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「HUMAN LOST」より 著者:太宰治
を! 私は、私の作品の中の人物に、なり切ったほうがむしろ、よかった。ぐうだらの
漁色家。 私は、「おめん!」のかけごえのみ盛大の、里見、島崎などの姓名によりて....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
も疑わねばならぬような会話を聞いた。 「あたしを愛してくれますか」 ちょっと、
漁色にすさんだヤンでもふるえた声で言うと、 「ええ、あたしも愛してくれますか」と....
「若き世代への恋愛論」より 著者:宮本百合子
本においては、逞しい生活意欲という仮装面の下に、危うく過去のあり来りの男の凡俗な
漁色の姿をおおいかくしている結果になる。 ヒューマニズムとは、勇気と沈着さとで....
「平凡」より 著者:二葉亭四迷
なる、惚れたとか腫《は》れたとか、情合《じょうあい》で異性と絡《から》んで、唯の
漁色《ぎょしょく》に趣《おもむき》を添えたくなると云う。其処だ、其処が即ち文学の....
「ジロリの女」より 著者:坂口安吾
て、金龍は私のものだというようなことを、それとなく匂わしたのだ。 院長は豪酒と
漁色で音にきこえた人物だが、金と地位があり、遊びは自在で、妾をたくわえるというよ....
「アンゴウ」より 著者:坂口安吾
けであり、そして、そこにはこの用箋もあったのだ。 神尾は軽薄な人ではなかった。
漁色漢でもなかった。然し、浮気心のない人間は存在せず、その可能性をもたない人は有....
「学生と生活」より 著者:倉田百三
でに結婚後の壮年期に達したるものの恋愛論は、もはや恋愛とは呼べない情事的、享楽的
漁色的材料から帰納されたものが多いのであって、青年学生の恋愛観にとっては眉に唾す....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
である。 仮に人生を五十とするならば、あと十年足らずの前川なのだが、恋愛ヌキの
漁色だけに、惑溺している知己のAやBを、心の内に思い起しながら、 (俺は君達と少....
「私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
とかいって、大騒ぎされるが、美人必ずしも店の繁栄を来すものとは限らない。かえって
漁色家連の間に引張りだことなって、その結果嫉妬のため店の妨害をされることが沢山あ....
「怪しの館」より 著者:国枝史郎
したのだそうで。しかし自分の財産だけは、自分で持っていたそうです。そうして非常な
漁色家で、花垣という美男の浪人と、関係していたということです。で、子が一人もない....
「血ぬられた懐刀」より 著者:国枝史郎
…………、…………、追っかけ追っかけ上ぼって行くのを、堪えることが出来なかった。
漁色の動物 「ああ妾はどうしたんだろう? こんな気持になったことは、それこそ産れ....
「露の答」より 著者:坂口安吾
ざる波瀾を捲き起してはおりました。 折しも五郎兵衛は踊りの師匠の娘と恋に落ち、
漁色の余裕を喪失して真の闇路を踏み迷う身となった。そのとき五郎兵衛は五十三、娘は....
「越後獅子」より 著者:羽志主水
にも非道いと思う事を為るが、何様《どう》にか治まって来た。只、勝次郎が、可成盛に
漁色《のたく》るので、之が原因《もと》で始終中《しょっちゅう》争論《いさかい》の....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
はまた時代の悪|瓦斯に毒された畸行の一つであった。だが、この椿岳の女道楽を単なる
漁色とするは時代を無視した謬見である。 椿岳は物故する前二、三年、一時|千束に....
「俗臭」より 著者:織田作之助
席の持主の妾をしていたことがあり、旦那は南五花街の遊廓で誰知らぬ者のない稀にみる
漁色家で、常に春画春本淫具の類を懐中にしている男であると、女は何を思い出したのか....