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漂浪
「漂浪〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
漂浪の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「日光小品」より 著者:芥川竜之介
そうにそびえて、その間をさまよう放牧の馬の群れはそぞろに我々の祖先の水草を追うて
漂浪した昔をおもい出させる。原をめぐった山々はいずれもわびしい灰色の霧につつまれ....
「さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
はイエス・クリストの呪《のろい》を負って、最後の審判の来る日を待ちながら、永久に
漂浪を続けている猶太人の事である。名は記録によって一定しない。あるいはカルタフィ....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
荷造りして大小二つの荷が出来た。妻は良人《おっと》の心持ちが分るとまた長い苦しい
漂浪の生活を思いやっておろおろと泣かんばかりになったが、夫の荒立った気分を怖れて....
「東海道五十三次」より 著者:岡本かの子
、この頃でも何処かを歩いてらっしゃるでしょうか、こういう寒空にも」 と言って、
漂浪者の身の上を想ってみた。 それから二十年余り経つ。私は主人と一緒に名古屋へ....
「乱世」より 著者:菊池寛
強の人たちは、藩主に従うて上京している。紀州路へ落ちたという噂だけで、今はどこを
漂浪っているかわからない。留守を守っている人々は、老人でなければ女子供である。そ....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
を切りながら、船の上に現われて来る。猫のような声で小さく呼びかわすこの海の砂漠の
漂浪者は、さっと落として来て波に腹をなでさすかと思うと、翼を返して高く舞い上がり....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
たかのプロメテウス(Prometheus)の父。 (注四) この名の意味は『高く
漂浪するもの』である。 (注五) 立派なものの意。 (注六)『神母』、これがすな....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
熊城君、事実それは伝説に違いないのだ。ネゲラインの『北欧伝説学』の中に、その昔|
漂浪楽人が唱い歩いたとか云う、ゼッキンゲン侯リュデスハイムの話が載っているんだ。....
「蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
。強盗をしたのだか何をしたのだか知らないが、黄金を沢山持って武者修行、悪く云えば
漂浪して来た伊勢新九郎は、金貸をして利息を取りながら親分肌を見せては段々と自分の....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
。「いつどうして葉之助が、そんな所へ行ったんだね」 「明治初年だということです。
漂浪している窩人の群と、甲州のどこかで逢ったんだそうです。もちろんその時は窩人達....
「転機」より 著者:伊藤野枝
った。そうしたはめになって、ある者は再び惨めな村へ帰った。ある者は何のあてもない
漂浪者になって離散した。 M氏によって話される悲惨な事実は、いつまでも尽きなか....
「アインシュタイン」より 著者:寺田寅彦
こでしばらく自由の身になった少年はよく旅行をした。ある時は単身でアペニンを越えて
漂浪したりした。間もなく彼はチューリヒのポリテキニクムへ入学して数学と物理学を修....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
が走り過ぎたのを覚えたのであった。 第三編 偶像の黄昏 一、
漂浪える「|鷹の城」 いったんは、ウルリーケも愕っとしたように振りむいたが、し....
「入れ札」より 著者:菊池寛
を、感じていた。そればかりでなく、十年前までは、兄弟同様に賭場から賭場を、一緒に
漂浪して歩いた忠次までが、何時となく、自分を軽んじている事を知った。皆は表面こそ....
「彼等流浪す」より 著者:小川未明
通ずるところがあるのは、同じ、北方の産であったゝめであろう。 私達は、さらに、
漂浪の詩人に、郷土のなつかしまれたのを知る。レエルモントフのコウカサスに於ける、....