漆塗[語句情報] »
漆塗
「漆塗〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
漆塗の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
札がかかっていて、その向かいの左の戸には「No.12 早月葉子殿」と白墨で書いた
漆塗《うるしぬ》りの札が下がっていた。船員はつかつかとそこにはいって、いきなり勢....
「檸檬」より 著者:梶井基次郎
ぜられた。果物はかなり勾配の急な台の上に並べてあって、その台というのも古びた黒い
漆塗《うるしぬ》りの板だったように思える。何か華やかな美しい音楽の快速調《アッレ....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
ッと敷きつめてあった。その上を静かに歩いてゆきながら、傍の扉の上に懸っている黒い
漆塗りの名札を読むと「市長室」などと、厳しい達者な白い文字で記してあった。 ―....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
上で、あたりを見まわすと、四方の壁にも衛兵の像が描いてあって、南の壁の前に大きい
漆塗りの棺が鉄の鎖にかかっていました。棺の下には金銀や宝玉のたぐいが山のように積....
「工場細胞」より 著者:小林多喜二
の外の附属は? 河田がきいた。 ――実験室。これはラバー(ゴム引き)の試験と
漆塗料の研究をやっています。こゝにいる人は私らにひどく理解を持ってゝくれるんです....
「七宝の柱」より 著者:泉鏡花
つつ、かなでつつ浮出ている。影をうけた束、貫の材は、鈴と草の花の玉の螺鈿である。
漆塗、金の八角の台座には、本尊、文珠師利、朱の獅子に騎しておわします。獅子の眼は....
「ドナウ源流行」より 著者:斎藤茂吉
た。その単純な模様が僕の心を引いた。それから、日本の品物のあるのが僕を驚かせた。
漆塗の小箪笥があったり、竹の模様ある置物台。膳七重。高砂の翁媼図の縫取。書棚。香....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
てはいろうとした。が、硝子戸は動かなかった。のみならずそこには「定休日」と書いた
漆塗りの札も下っていた。僕は愈不快になり、硝子戸の向うのテエブルの上に林檎やバナ....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
すっかり落ちついてしまった。 夕飯は、茶の間の涼しい広縁で、大勢と一緒だった。
漆塗の餉台が馬鹿に広くて、鏡のように光っているのが、先ず次郎の眼についた。金縁の....
「独房」より 著者:小林多喜二
箸一ぜん。――それだけ入っている食器箱。フキン一枚。土瓶。湯呑茶碗一個。 黒い
漆塗の便器。洗面器。清水桶。排水桶。ヒシャク一個。 縁のない畳一枚。玩具のよう....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
の大絨毯、長い象牙に豺の角、孔雀の羽根に白熊の毛皮、異国の貨幣を一杯に充たした、
漆塗りの長方形の箱、宝石を充たした銀製の箱、さまざまの形の古代仏像、青銅製の大香....
「夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
最近では此処で、推摩居士が祈祷と霊通を致すようになりまして……」 そこには、黒
漆塗の六枚厨子扉があって、青銅で双獅子を刻んだ閂の上には、大きな錠前がぶら下って....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
薙刀、面、胴、籠手の道具類が、棚に整然と置かれてあり、左の板壁には段位を分けた、
漆塗りの名札がかけてあった。 塵もとどめぬ板敷は、から拭きされて鏡のように光り....
「地上」より 著者:島田清次郎
子と雇い男に手伝われながら、荷造りや掃除をどうにかすました。唯一つ残っている黒い
漆塗りの箪笥と長持を人夫が車に運ぶのを見ていると何故か涙がにじみ出て来た。苦い流....
「丸の内」より 著者:高浜虚子
の小さい劇場の有楽座が建ったはじめに、表に勘亭流の字で書かれた有楽座という小さい
漆塗りの看板が掛っていたのに、私は奇異の眼をみはった事があった。この有楽座という....