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漉き
「漉き〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
漉きの前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
明け放たれていて、谷窪の万象は生々の気を盆地一ぱいに薫らしている。輝く蒼空をいま
漉き出すように頭上の薄膜の雲は見る見る剥れつつあった。 何という新鮮で濃情な草....
「河明り」より 著者:岡本かの子
ろは、金沙を混ぜた緑礬液のように、毒と思えるほど濃く凝って、しかもきらきら陽光を
漉き込んでいる。片帆の力を借りながら、テンポの正規的な汽鑵の音を響かせて、木下の....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
も対岸の丘もかなり青み亘り、その青みの中に柔かいうす紅や萌黄の芽出しの色が一面に
漉き込まれている。
漉き込み剰って強い塊の花の色に吹き出しているところもある。川幅....
「小泉八雲秘稿画本「妖魔詩話」」より 著者:寺田寅彦
ストが印刷してある。 書物の大きさは三二×四三・五センチメートルで、用紙は一枚
漉きの純白の鳥の子らしい。表紙は八雲氏が愛用していた蒲団地から取ったものだそうで....
「浅草紙」より 著者:寺田寅彦
せいぜい二、三|分四方、小さいのは虫眼鏡ででも見なければならないような色紙の片が
漉き込まれているのである。それがただ一様な色紙ではなくて、よく見るとその上には色....
「未来の天才」より 著者:豊島与志雄
意に舞い込んできたその紙幣が、貴い玩具のようにさえ思えてきた。兎に角、五七の桐を
漉き込んだこの五十枚の紙片があれば、可なり面白いことが得られそうな気がした。 ....
「或る秋の紫式部」より 著者:岡本かの子
代の人間は、あれほどの骨折をしながら、人間の中に何か此の世に引き付けられるものが
漉き込まれていて、解脱が手の届くところまで来ていても、どうしても掴めずに引戻され....
「手仕事の日本」より 著者:柳宗悦
附きます。各地方にはそれぞれ特色のある品物が今も手で作られつつあります。例えば手
漉きの紙や、手轆轤の焼物などが、日本ほど今も盛に作り続けられている国は、他には稀....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
大生命の人格化、覚者の義)の手は行き亘らぬ隈もなく、どんな狭い隙からも霧のように
漉き入り、身をも心をも柔かく包みます。旅へ出れば一緒に附いて行ってくれ、また向う....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
どすっ……と藁を打つ鈍い杵の音が細民町を揺すっている。雨はそこらの牛飼の家や、紙
漉きの小屋を秋のように、腐らせていた。北野も、この辺は場末で、黄昏れとなっても、....
「賤民概説」より 著者:喜田貞吉
て、事に従わしめたのであった。その追従の法師(聖)には、道に落ちた紙屑を拾って、
漉き直して写経の料紙を作る、縄切れを拾って、土に雑ぜて古堂の壁を修繕する、瓜の喰....