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漕ぎ出す
「漕ぎ出す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
漕ぎ出すの前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
飛びのいてしまった。 「早く舟を出せ。」 捕り方は岸につないである小舟に乗って
漕ぎ出すと、お冬のすがたは一旦沈んでまた浮き出した。川の底で自分から脱いだのか、....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
て紅葉館の旗を艫に立てた小舟に乗った。宿引は一礼して去り、船頭は軋と櫓声を立てゝ
漕ぎ出す。
黄金色に藻の花の咲く入江を出ると、広々とした沼の面、絶えて久しい赤....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
親方で。 草履ばきでも濡れさせまいと、船がそこった間だけ、負ってくれて、乗ると
漕ぎ出すのを、水にまだ、足を浸したまま、鷭のような姿で立って、腰のふたつ提げの煙....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
す。(「杉垣」「朝の風」そのほか短篇)
長い小説で、私は力一杯自分の小舟を沖へ
漕ぎ出す決心です。
この実業之日本の本に比べると、高山の方は文学に関するものば....
「探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
像通りに真っ白な雛子の顔がかがり火の下に仰向けになっていた。夜網の漁師たちが沖へ
漕ぎ出すと、主のない一艘の小舟がゆらゆらと漂っているので、不思議に思って漕ぎよせ....
「犬神娘」より 著者:国枝史郎
いうので、その夜のうちに薩摩へ向けて立とうと、土佐堀の薩州邸下から小倉船に乗り、
漕ぎ出すことにいたしました。一行はご上人様と吉之助様と、俊斎様と私とのほかに、薩....
「十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
ているさえなつかしし 舟のりをする身のならい 死ぬることこそ多ければ さて
漕ぎ出すわが舟の しだいに遠くなるにつれ 山の裾辺の麦の小田 いまを季節と....
「海豚と河豚」より 著者:佐藤垢石
ような訳になった。 よし、万障繰り合わす。 さて、このほどいよいよ金華山沖へ
漕ぎ出すことになった。仙台から牡鹿半島の突端まで二十五、六里、その間の山坂ばかり....
「キャラコさん」より 著者:久生十蘭
。 「おかしいと思ったよ。いくら槇子が気紛れだって、あんな時化《しけ》にボートを
漕ぎ出すなんてのは、ちとムイミだからな。秋作さんへの心中立てに、初めから自殺する....
「アラン島」より 著者:片山広子
白波が高くたかく寄せてくる砂の上から数人の男たちが舟を出す景。怒濤をくぐつて舟を
漕ぎ出すとき、舟は小山のやうな浪の中に時々かくれて又現はれる、漕手は恐れげもなく....
「巨椋池の蓮」より 著者:和辻哲郎
すぐに起こされたような感じで、朝はひどく眠かったが、宿の前から小舟に乗って淀川を
漕ぎ出すと、気持ちははっきりしてきた。朝と言ってもまだまっ暗で、淀川がひどく漫々....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
も喧嘩早い生れつきに出来ているような小男で、櫓はうまい。 堀から隅田のながれへ
漕ぎ出すと、半瓦は、重筥を開けさせて、 「おばあさん、実は今日は、わしのおふくろ....