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漠
「漠〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
漠の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
分も昔の自分である。……
猪熊《いのくま》のばばの心の中には、こういう考えが、
漠然《ばくぜん》とながら、浮かんで来た。そのさびしい心もちに、つまされたのであろ....
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
ども彼の憎んだのは必しもそれ等の為ばかりではなかった。いや、寧ろそれ等よりも何か
漠然としたものの為だった。尤《もっと》も彼等の或ものも彼等自身意識せずにこの「何....
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
を感じた。同時に又|襖《ふすま》一重向うに咳《せき》一つしずにいる母のお鳥に何か
漠然とした不安も感じた。
「じゃ一週間位はいてくれられるの?」
「はい、こちら様....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
見知らない男の話を聞かないと云う訳には行かなかった。が、同時にまた不吉な予感と茫
漠とした一種の責任感とが、重苦しく私の心の上にのしかかって来るような心もちもした....
「河童」より 著者:芥川竜之介
空にやはり高い塔や円屋根《まるやね》を無数の触手のように伸ばしています。なにか沙
漠《さばく》の空に見える蜃気楼《しんきろう》の無気味さを漂わせたまま。……
一....
「おぎん」より 著者:芥川竜之介
り変る」尊いさがらめんとを信じている。おぎんの心は両親のように、熱風に吹かれた沙
漠《さばく》ではない。素朴《そぼく》な野薔薇《のばら》の花を交《まじ》えた、実り....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
向《たむ》けながら、彼の方へ微笑を送った。
「うん。」
彼は顔を知らない父に、
漠然とした親しみを感じていた。が、この憐《あわれ》な石塔には、何の感情も起らない....
「仙人」より 著者:芥川竜之介
にはわからないが――無意識ながら憎んでいる。事によると、李が何にでも持っている、
漠然とした反抗的な心もちは、この無意識の憎しみが、原因になっているのかも知れない....
「少年」より 著者:芥川竜之介
しるし》であろう? 保吉は幻燈《げんとう》の中に映《うつ》る蒙古《もうこ》の大沙
漠《だいさばく》を思い出した。二すじの線はその大沙
漠にもやはり細ぼそとつづいてい....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
る。彼等は愛を信じない。良心なるものをも信じない。唯昔の苦行者のように無何有の砂
漠を家としている。その点は成程気の毒かも知れない。しかし美しい蜃気楼《しんきろう....
「樗牛の事」より 著者:芥川竜之介
てこの大理石の墓と――自分は十年ぶりで「わが袖の記」を読んだのとは、全く反対な索
漠《さくばく》さを感じて、匆々《そうそう》竜華寺の門をあとにした。爾来《じらい》....
「蜜柑」より 著者:芥川竜之介
いった一瞬間、汽車の走っている方向が逆になったような錯覚を感じながら、それらの索
漠とした記事から記事へ殆機械的に眼を通した。が、その間も勿論あの小娘が、あたかも....
「墓」より 著者:秋田滋
前に現れたのでした。人間がその一生を通じて希望というものに向けて放っている、あの
漠とした不断の叫び、その声に「おう」と応える声のように、彼女はわたくしの前にその....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
たしかなところを突止めることは出来ないので、そうした類いの自殺者に対しては、ただ
漠然と「不思議な」という言葉が使われるのだ。 そうした「動機もなく我とわが生命....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
にもなにもなっていないことが解るだろう。そこでは民族がすべてなのだ。生きもの、砂
漠の中に放浪生活を営む一種族の生きものとは、そもいかなるものであろうか。彼等は、....