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「漠然〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

漠然の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
分も昔の自分である。…… 猪熊《いのくま》のばばの心の中には、こういう考えが、漠然《ばくぜん》とながら、浮かんで来た。そのさびしい心もちに、つまされたのであろ....
大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
ども彼の憎んだのは必しもそれ等の為ばかりではなかった。いや、寧ろそれ等よりも何か漠然としたものの為だった。尤《もっと》も彼等の或ものも彼等自身意識せずにこの「何....
玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
を感じた。同時に又|襖《ふすま》一重向うに咳《せき》一つしずにいる母のお鳥に何か漠然とした不安も感じた。 「じゃ一週間位はいてくれられるの?」 「はい、こちら様....
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
向《たむ》けながら、彼の方へ微笑を送った。 「うん。」 彼は顔を知らない父に、漠然とした親しみを感じていた。が、この憐《あわれ》な石塔には、何の感情も起らない....
仙人」より 著者:芥川竜之介
にはわからないが――無意識ながら憎んでいる。事によると、李が何にでも持っている、漠然とした反抗的な心もちは、この無意識の憎しみが、原因になっているのかも知れない....
少年」より 著者:芥川竜之介
すから。――何でしょう、二つ揃っているものは?」 つうやもあらゆる巫女のように漠然と暗示を与えるだけである。保吉はいよいよ熱心に箸《はし》とか手袋とか太鼓《た....
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
女は過去に何人の男を愛したか、或はどう言う男を愛したかを考え、その架空の何人かに漠然とした嫉妬《しっと》を感ずることである。 又 又恋愛の徴候の一つ....
弓町より」より 著者:石川啄木
、そのころ初めて日本の詩壇に伝えられた。私も「吾々の詩はこのままではいけぬ」とは漠然とながら思っていたが、しかしその新らしい輸入物に対しては「一時の借物」という....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
うものが集まって微塵となり、この所在が黄道光を示すものと考えられる。カントは甚だ漠然と次のようなことを暗示している。すなわち、彼の設定した『太陽の滅亡の法則の中....
出奔」より 著者:伊藤野枝
先生にも打ち明ける機会は失くなってしまった。最後に大混雑の中にようやく仕方なしに漠然と極めたことは、嫌な嫌なあの知らない男や八カましい周囲から逃れることが第一で....
世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
なおざりにし始めてから、ラザルスは殆んど餓死せんばかりになっていたが、近所の者は漠然たる一種の恐怖のために彼に食物を運んでやらなかったので、子供たちが代って彼の....
ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
たしかなところを突止めることは出来ないので、そうした類いの自殺者に対しては、ただ漠然と「不思議な」という言葉が使われるのだ。 そうした「動機もなく我とわが生命....
戦争責任者の問題」より 著者:伊丹万作
れたものであるが、その文面に現われたかぎりでは、同連盟の目的は「文化運動」という漠然たる言葉で説明されていた以外、具体的な記述はほとんど何一つなされていなかつた....
著作権の問題」より 著者:伊丹万作
で適用ができるものかどうか、それは一々こまかい例をあげて説明するまでもなく、ただ漠然と出版事業と映画事業との差異を考えてみただけでもおよその見当はつくはずである....
広告」より 著者:伊丹万作
らい時勢に生産の報酬を大衆層に要求し得ないような、そんな暇仕事を選ぶことについて漠然たる不満と同時に不安を感じた。 しかし、いま彼の句を見て、その到達している....