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漫
「漫〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
漫の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「尾生の信」より 著者:芥川竜之介
すくんだ。
川の水はもう沓を濡しながら、鋼鉄よりも冷やかな光を湛《たた》えて、
漫々と橋の下に広がっている。すると、膝《ひざ》も、腹も、胸も、恐らくは頃刻《けい....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
まさ》に終ろうとしている頃であった。私はいつもの通りランプの前にあぐらをかいて、
漫然と書見に耽《ふけ》っていると、突然次の間との境の襖が無気味なほど静に明いた。....
「彼 第二」より 著者:芥川竜之介
を吹きながら、早速《さっそく》洋服に着換え出した。僕は彼に背《せ》を向けたまま、
漫然とブック・マンなどを覗《のぞ》いていた。すると彼は口笛の合い間《ま》に突然短....
「奇遇」より 著者:芥川竜之介
?
小説家 存外ありますよ。日本人が書いたのでは、七十八日遊記、支那文明記、支那
漫遊記、支那仏教遺物、支那風俗、支那人気質、燕山楚水《えんざんそすい》、蘇浙小観....
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
へ頭をもたせてブラジル珈琲とハヴァナと代る代る使いながら、すぐ鼻の先の鏡の中へ、
漫然と煮え切らない視線をさまよわせた。
鏡の中には、二階へ上る楷子段《はしごだ....
「女体」より 著者:芥川竜之介
の上だけである。自分も虱に生れたら、さぞ退屈だった事であろう。……
そんな事を
漫然と考えている中に、楊の意識は次第に朧《おぼろ》げになって来た。勿論夢ではない....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
のを、僕は勿論主張する必要がない。まして読者はただ、古い新聞の記事を読むように、
漫然と行《ぎょう》を追って、読み下してさえくれれば、よいのである。
....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
彼の肩から、猪首の若者の肩へ移り出した。それはあたかも雲の堰が押し移るがごとく緩
漫《かんまん》であった。と同時にまた雲の峰が堰《せ》き止め難いごとく刻薄であった....
「二つの手紙」より 著者:芥川竜之介
すから、私は以上のお願いを敢て致しました。猶《なお》これから書く事も、あるいは冗
漫《じょうまん》の譏《そしり》を免れないものかも知れません。しかし、これは一方で....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
れたあげく、とうとうある畳屋の店へ飛び上がってしまったのを覚えている。 僕は今
漫然と「いじめっ子」の心理を考えている。あれは少年に現われたサアド型性欲ではない....
「田端日記」より 著者:芥川竜之介
午少し前まで、仕事をしたら、へとへとになったから、飯を食って、水風呂へはいって、
漫然と四角な字ばかり並んだ古本をあけて読んでいると、赤木桁平が、帷子の上に縞絽の....
「蜜柑」より 著者:芥川竜之介
、一つにはこの小娘の存在を忘れたいと云う心もちもあって、今度はポッケットの夕刊を
漫然と膝の上へひろげて見た。するとその時夕刊の紙面に落ちていた外光が、突然電燈の....
「久米正雄」より 著者:芥川竜之介
郷なる何某と云うレストランに、久米とマンハッタン・カクテルに酔いて、その生活の放
漫なるを非難したる事ありしが、何時か久米の倨然たる一家の風格を感じたのを見ては、....
「近藤浩一路氏」より 著者:芥川竜之介
近藤浩一路氏 芥川龍之介 近藤君は
漫画家として有名であった。今は正道を踏んだ日本画家としても有名である。 が、こ....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
会はファラデーが芽生で植えられた土地で、ここにファラデーは生長して、天才の花は爛
漫と開き、果を結んで、あっぱれ協会の飾りともなり、名誉ともなったのであるから、か....