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漫然
「漫然〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
漫然の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「尾生の信」より 著者:芥川竜之介
のである。だから私は現代に生れはしたが、何一つ意味のある仕事が出来ない。昼も夜も
漫然と夢みがちな生活を送りながら、ただ、何か来《きた》るべき不可思議なものばかり....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
まさ》に終ろうとしている頃であった。私はいつもの通りランプの前にあぐらをかいて、
漫然と書見に耽《ふけ》っていると、突然次の間との境の襖が無気味なほど静に明いた。....
「彼 第二」より 著者:芥川竜之介
を吹きながら、早速《さっそく》洋服に着換え出した。僕は彼に背《せ》を向けたまま、
漫然とブック・マンなどを覗《のぞ》いていた。すると彼は口笛の合い間《ま》に突然短....
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
へ頭をもたせてブラジル珈琲とハヴァナと代る代る使いながら、すぐ鼻の先の鏡の中へ、
漫然と煮え切らない視線をさまよわせた。
鏡の中には、二階へ上る楷子段《はしごだ....
「女体」より 著者:芥川竜之介
の上だけである。自分も虱に生れたら、さぞ退屈だった事であろう。……
そんな事を
漫然と考えている中に、楊の意識は次第に朧《おぼろ》げになって来た。勿論夢ではない....
「路上」より 著者:芥川竜之介
後この下宿の二階で、窓際の西洋机《デスク》の前へ据えた輪転椅子に腰を下しながら、
漫然と金口《きんぐち》の煙草《たばこ》を啣《くわ》えていた。彼の前には読みかけた....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
のを、僕は勿論主張する必要がない。まして読者はただ、古い新聞の記事を読むように、
漫然と行《ぎょう》を追って、読み下してさえくれれば、よいのである。
....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
もしばらくの間は、恐怖と驚愕《きょうがく》とを代る代る醜い顔に表しながら、ただ、
漫然と自失した眼《まなこ》を相手に注ぐよりほかはなかった。
その内に猪首の若者....
「宣言一つ」より 著者:有島武郎
家がある。彼らは第四階級以外の階級者が発明した文字と、構想と、表現法とをもって、
漫然と労働者の生活なるものを描く。彼らは第四階級以外の階級者が発明した論理と、思....
「想片」より 著者:有島武郎
の人の生活に十分の醇化《じゅんか》を経ていないで、過去から注ぎ入れられた生命力に
漫然と依頼しているのが発見されるだろう。彼が現在に本当に立ち上がって、その生命に....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
れたあげく、とうとうある畳屋の店へ飛び上がってしまったのを覚えている。 僕は今
漫然と「いじめっ子」の心理を考えている。あれは少年に現われたサアド型性欲ではない....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
て切ることが出来ない。そして捨て切ることの出来ないのを悪いことだとさえ思わない。
漫然と私自身を他の境界に移したら、即ち私の個性を本当に知ろうとの要求を擲ったなら....
「田端日記」より 著者:芥川竜之介
午少し前まで、仕事をしたら、へとへとになったから、飯を食って、水風呂へはいって、
漫然と四角な字ばかり並んだ古本をあけて読んでいると、赤木桁平が、帷子の上に縞絽の....
「亡び行く江戸趣味」より 著者:淡島寒月
持だけで、後世に語り伝えようと思うて研究した訳ではないが、お望みとあらばとにかく
漫然であるが、見聞の一端を思い出づるままにとりとめもなくお話して見よう。 ....
「蜜柑」より 著者:芥川竜之介
、一つにはこの小娘の存在を忘れたいと云う心もちもあって、今度はポッケットの夕刊を
漫然と膝の上へひろげて見た。するとその時夕刊の紙面に落ちていた外光が、突然電燈の....