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漸
「漸〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
漸の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
華奢《きゃしゃ》な女の足が突然空へ現れた。纏足《てんそく》をした足だから、細さは
漸《ようや》く三寸あまりしかない。しなやかにまがった指の先には、うす白い爪が柔ら....
「野呂松人形」より 著者:芥川竜之介
芽を誘うには早すぎるが、空気は、湿気を含んで、どことなく暖い。二三ヶ所で問うて、
漸《ようや》く、見つけた家は、人通りの少ない横町にあった。が、想像したほど、閑静....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
《そのときぼさつびをしょくし》已訖従座而起《すでにおわりてざよりしてたつ》。安庠
漸々《あんじょうにぜんぜん》向菩提樹《ぼだいじゅにむかう》。』どうじゃ。『安庠
漸....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
《たす》けたりしている若党|草履《ぞうり》取を加えても、一行の人数《にんず》は、
漸く十人にすぎない。それが、とり乱した気色もなく、つれ立って、門を出た。
延享....
「運」より 著者:芥川竜之介
ゆ》を煮るやら、いろいろ経営《けいえい》してくれたそうでございます。そこで、娘も
漸《ようや》く、ほっと一息つく事が出来ました。」
「私も、やっと安心したよ。」
....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
(五)
よくこれほどあるもんだと思わせた長雨も一カ月ほど降り続いて
漸《ようや》く晴れた。一足飛びに夏が来た。何時《いつ》の間に花が咲いて散ったのか....
「想片」より 著者:有島武郎
クスの唯物史観をかくのごとく解するものである。
ところが資本主義の経済生活は、
漸次に種子をその土壌から切り放すような傾向を馴致《じゅんち》した。マルクスがその....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
ことを予言しなければならなかった。』『永遠なるものの無限の経過にも、ついにはこの
漸近的な減少の果てに、すべての活動が終熄してしまう最後の日が来ないわけにはゆかな....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
たちは、こう言って自己の感想を説明していた。 「すべて手に触れ、眼に見える物体は
漸次に空虚な、軽い、透明なものに化するもので、謂わば夜の闇に光る影のようなもので....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
他の人格がその口頭機関を占領して自由自在に言語を発するようになりました。『これで
漸くトーキーができ上がった……』私達はそんな事を言って歓んだものであります。『小....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
、諄々として教え導くにつとめた。当時一般世人から軽蔑されたスピリチュアリズムが、
漸く堅実なる地歩を、天下に占むるに至ったことにつきてはモーゼスの功労が、どれ丈け....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
白蛇と同じように、鉄冠子の留守をつけこんだ、魔性の悪戯に違いありません。杜子春は
漸く安心して、額の冷汗を拭いながら、又岩の上に坐り直しました。 が、そのため息....
「蜜柑」より 著者:芥川竜之介
―そう云うすべては、窓へ吹きつける煤煙の中に、未練がましく後へ倒れて行った。私は
漸くほっとした心もちになって、巻煙草に火をつけながら、始めて懶い睚をあげて、前の....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
から液に漬け、指の間に入れて破って見た。この間ファラデーは黙ってやっておったが、
漸う口を開いて、「そうだ、軟いが、なるほどすぐに脆くなる。」しばらくしてこれに附....
「浅沼稲次郎の三つの代表的演説」より 著者:浅沼稲次郎
の違反の疑い十分なることは、何人といえどもこれを認めるところであります。自衛力の
漸増計画に名をかって、あえて憲法の規定を無視し、事実上の再軍備をやっておるのであ....