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「漿〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

漿の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
美いから、その色に紛うけれども、可愛い音は、唇が鳴るのではない。お蔦は、皓歯に酸漿を含んでいる。…… 「早瀬の細君はちょうど(二十)と見えるが三だとサ、その年紀....
親子」より 著者:有島武郎
けれども畦道をやや広くしたくらいのもので、畑から抛り出された石ころの間なぞに、酸漿の実が赤くなってぶら下がったり、轍にかけられた蕗の葉がどす黒く破れて泥にまみれ....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
の眼一|双び、眦に紫の隈暗く、頬骨のこけた頤蒼味がかり、浅葱に窩んだ唇裂けて、鉄漿着けた口、柘榴の舌、耳の根には針のごとき鋭き牙を噛んでいたのである。 ....
菎蒻本」より 著者:泉鏡花
草、菫、山吹、植木屋の路を開き初めて、長閑に春めく蝶々|簪、娘たちの宵出の姿。酸漿屋の店から灯が点れて、絵草紙屋、小間物|店の、夜の錦に、紅を織り込む賑となった....
茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
と煽いで呼ばるる。……毎年顔も店も馴染の連中、場末から出る際商人。丹波鬼灯、海酸漿は手水鉢の傍、大きな百日紅の樹の下に風船屋などと、よき所に陣を敷いたが、鳥居外....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
、痛快にその臓腑を抉るのである。末法の凡俳は、咽喉までも行かない、唇に触れたら酸漿の核ともならず、溶けちまおう。 ついでに、おかしな話がある。六七人と銑吉がこ....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
黒だというが。」 この弦光の言、――聞くべし、特説|也。 「乱杭、歯くそ隠の鉄漿をつけて、どうだい、その状で、全国の女子の服装を改良しようの、音楽を古代に回す....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
浮世の汐風に、冷く大理石になったような、その仏造った顔に、寂しげに莞爾笑った。鉄漿を含んだ歯が揃って、貝のように美しい。それとなお目についたは、顔の色の白いのに....
黒百合」より 著者:泉鏡花
ぱり鍍金、ガラハギは、ガラハギ。」 と尻ッ刎の上調子で言って、ほほと笑った。鉄漿を含んだ唇赤く、細面で鼻筋通った、引緊った顔立の中年増。年紀は二十八九、三十で....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
出す。 夫人も、つい誘われて門へ立った。 高張、弓張が門の左右へ、掛渡した酸漿提灯も、燦と光が増したのである。 桶屋の凧は、もう唸って先へ飛んだろう。馬二....
多神教」より 著者:泉鏡花
れ伏す。 神職 鏡――うむ、鉄輪――うむ、蝋燭――化粧道具、紅、白粉。おお、お鉄漿、可厭なにおいじゃ。……別に鉄槌、うむ、赤錆、黒錆、青錆の釘、ぞろぞろと……青....
春昼後刻」より 著者:泉鏡花
をずらし、 「お聞きなさいましよ、まあ、」 と恍惚したように笑を含む口許は、鉄漿をつけていはしまいかと思われるほど、婀娜めいたものであった。 「まあ、私に、恋....
狂人日記」より 著者:秋田滋
それを振り上げ、その刄の方で釣師の頭をひと撃ちで割った。頭から血が流れ出した。脳漿が入り混った、薔薇色の血! それは緩やかに川の中に流れ込んだ。私は落著いてゆる....
式部小路」より 著者:泉鏡花
いてはってあろうも知れぬ。 「だって、私だって名ぐらいはあろうじゃないか。」と鉄漿つけた歯を洩らしたが、笑うのも浮きたたぬは、渾名を火の玉と聞いたのが余程気にな....
註文帳」より 著者:泉鏡花
織の手巾を頸に巻いたが、向風に少々鼻下を赤うして、土手からたらたらと坂を下り、鉄漿溝というのについて揚屋町の裏の田町の方へ、紺足袋に日和下駄、後の減ったる代物、....