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潔い
「潔い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
潔いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
それを定命の死といわないで何処に正しい定命の死があろう。愛したものの死ほど心安い
潔い死はない。その他の死は凡て苦痛だ。それは他の為めに自滅するのではない。自滅す....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
甘いほどな、この場合優しい声で、御夫人に言いました。 (はい。) と、若奥様は
潔い。 若旦那はまっすぐに立直って、 (立野さん。) (…………) (では、御....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
こに、青き苔の滑かなる、石囲の掘抜を噴出づる水は、音に聞えて、氷のごとく冷やかに
潔い。人の知った名水で、並木の清水と言うのであるが、これは路傍に自から湧いて流る....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
い棄てて、直ぐに歩を移して、少し肩の昂ったのも、霜に堪え、雪を忍んだ、梅の樹振は
潔い。 呆気に取られた顔をして、亭主が、ずッと乗出しながら、 「へい。」 と....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
事を聞かされました。玩弄は取替えられたんです、花は古い手に摘れたんです……男は、
潔い白い花を、後妻になれと言いました。 贅沢です、生意気です、行過ぎています。....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
玉の雫に、颯と散らして、赤く燃ゆるような唇に請けた。ちょうど渇いてもいたし、水の
潔い事を見たのは言うまでもない。 「ねえ、お前。」 稚児が仰いで、熟と紫玉を視....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
りにして、その夜、(烏をいう)千羽ヶ淵で自殺してしまったのである。身を投げたのは
潔い。 卑怯な、未練な、おなじ処をとぼついた男の影は、のめのめと活きて、ここに....
「食魔」より 著者:岡本かの子
き、自分の生を眺め返せば「あれは、まず、あれだけのもの」と、あっさり諦められた。
潔い苦笑が唇に泛べられた。かかる死を時せつ想い見ないで、なんで自分のような激しい....
「扉の彼方へ」より 著者:岡本かの子
がほんとうに茲まで進まなければ、事実上の良人と妻になってはならない――こう良人は
潔い遠慮をし、私も自然にそれに従っていたのが、式後一ヶ月以上の礼儀正しい二人の生....
「乱世」より 著者:菊池寛
た。 「各々方、今夜はお別れでござる。我々に無礼を働く鳥取藩士への面当に、明日は
潔い最期を心掛けようではござらぬか。各々方が、平生の覚悟を拝見しとうござる」 ....
「血ぬられた懐刀」より 著者:国枝史郎
気か、それ程までに某を、もう嫌って居られるのか。薄情もそこまで行き詰めれば、また
潔いものがある。で、某も潔くやろう。二人の仲は今日限りに、あかの他人の昔に帰ろう....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
がこぼれるのも、この季節での出来事である。とまれ寂しい季節といえようが、一面には
潔い。
投げられて坊主なりけり辻相撲
勇ましい男らしい辻相撲などがあそこに....
「蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
。そこで政宗は仕方が無い、もとより我慾によって国郡を奪ったのではござらぬ、という
潔い言葉に吾《わ》が身をよろおって、会津も仙道諸郡も命のままに差上げることにした....
「白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
にも高い、私はこのときほど、高山植物の神秘に打たれたことはない、白花の石楠花は、
潔いけれど、血の気の失せた老嬢のように、どこか冷たかった、今一と目、この花を見る....
「敵討札所の霊験」より 著者:三遊亭円朝
又「左様でげすか、鹿は木実や清らかな草を好んで喰うと申すことで、鹿の肉は魚よりも
潔いから召上れ、御婦人には尚お薬でございます……おい婆さん何を持って来て、ソレこ....