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潜む
「潜む〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
潜むの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
に対して不思議な憎しみを覚えるとともに、もう一度その憎むべき目を見すえてその中に
潜む不思議を存分に見窮めてやりたい心になった。葉子はそうした気分に促されて時々事....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
頼して私はどうして私自身を誤りなく云い現わすことが出来よう。私は已むを得ず言葉に
潜む暗示により多くの頼みをかけなければならない。言葉は私を言い現わしてくれないと....
「蠅男」より 著者:海野十三
ちの窓を見てニヤッと笑っているでしょう」 「そうか、残念やなア」 蠅男が近所に
潜むという帆村の推理に、村松検事も賛成の意を表した。 それではというので、すぐ....
「春昼」より 著者:泉鏡花
屋の窓は、山が開いた眼に似て、あたかも大なる蟇の、明け行く海から掻窘んで、谷間に
潜む風情である。 されば瓦を焚く竈の、屋の棟よりも高いのがあり、主の知れぬ宮も....
「二十五年間の文人の社会的地位の進歩」より 著者:内田魯庵
以上冷静なる態度を持してヨリ以上深酷に直ちに人間の肺腑に蝕い入って、其のドン底に
潜むの悲痛を描いて以て教えなければならぬ。今日以後の文人は山林に隠棲して風月に吟....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
きたのであろうか。彼は綱端を両手に掴み、身体を弓のように反らせて、バラックの中に
潜む大きな力に対抗していた。でもなんという奇妙な手応えだろう。どうも沢庵石を引張....
「海の使者」より 著者:泉鏡花
うな澪標もない。あったにしても、こう人近く、羽を驚かさぬ理由はない。 汀の蘆に
潜むか、と透かしながら、今度は心してもう一歩。続いて、がたがたと些と荒く出ると、....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
姿でございました。しかし委細の事情を知って居る私には、あの美しいお顔の何所やらに
潜む、一|種の寂しさ……新婚を歓ぶというよりか、寧しろつらい運命に、仕方なしに服....
「壁の眼の怪」より 著者:江見水蔭
、村の娘達の後のためを考えて、そなたが先ず魁を見せたらばな」 山間|僻地に多年
潜む排外思想の結果、若き女の血に燃えるのを、脅威を以て抑圧していた、その不合理を....
「怪異暗闇祭」より 著者:江見水蔭
れて、土蔵の中を座敷牢にして、三年ばかり入れられていた。この裏面には継母の邪曲も
潜むのであった。 既に定っていた良家への縁談は腹違いの妹にと移された。 稲代....
「雷同性に富む現代女流画家」より 著者:上村松園
うに誰も彼も同じような美人画が出来ようとは思われません。それが本当に自己の内奥に
潜む力の発現として作家を容型しているものならばたとえ似交った多くの美人画の中にも....
「清心庵」より 著者:泉鏡花
、峰にのぼり、森の中をくぐりなどして、杖をもつかで、見めぐるにぞ、盗人の来て林に
潜むことなく、わが庵も安らかに、摩耶も頼母しく思うにこそ、われも懐ししと思いたり....
「不吉の音と学士会院の鐘」より 著者:岩村透
った。つまり押しくるめていえば学士会院の二時の鐘と血だらけの顔、そしてその裏面に
潜む革命の呻吟、これがこの話の大体である。....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
精粋というようなものが髣髴としてイキな声や微妙の節廻しの上に現れて、わが心の底に
潜む何かに触れて何かが想い出されて何ともいえぬ懐かしい心持になる。私はこれを日本....
「活人形」より 著者:泉鏡花
に非ず。 得右衛門は得三の名を呼びて室外におびき出し、泰助は難無く室内に入りて
潜むを得たり。しかる後二人計略|合期して泰助をして奇功を奏せしめたる、この処得右....