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「潜り門〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

潜り門の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
両国の秋」より 著者:岡本綺堂
ざむように遠く響いて、どこかの草の中からがちゃがちゃ虫の声もきこえた。 やがて潜り門の錠をあける音がからめいて、暗い中から林之助の白い姿が浮き出した。林之助は....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
むす子のことを連想して、胸にくっくと込み上げる感情が、意識された。 かの女は、潜り門に近い洋館のポーチに片肘を凭せて、そのままむす子にかかわる問題を反芻する切....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
だんだんに弛んで、いつとは無しに開かれて来た。勿論、全然開放とまでは行かないが、潜り門ぐらいはどうやらこうやら押せば明くようになって来た。 普通の劇場は一般の....
怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
」 伴「へい此処は横川です」 と云われて傍の岸辺を見ますと、二重の建仁寺の垣に潜り門がありましたが、是は確に飯島の別荘と思い、 新「伴藏や一寸此処へ着けて呉れ....
乳色の靄」より 著者:葉山嘉樹
ことが出来なかった。 当主は、寝ている処を、いきなり丸太ん棒、それも樫の木の、潜り門用の閂でドサッとやられたので、遺言を書こうにも書くまいにも、眼の覚める暇が....
千早館の迷路」より 著者:海野十三
を、素知らぬ顔で見て過ぎた。それに反して、正面の厳めしい鉄門も、裏口にある二つの潜り門も共に損傷がなく、ぴったりと閉ざされていて、一部には錆が出ているのを発見し....
思い出すかずかず」より 著者:宮本百合子
自分達の方を見ながら、煙草をふかして、煙管を掌の上ではたいたりしている。扉の傍に潜り門がついていて、先生は、一せいに生徒のお辞儀を受けながら、やや急いで、そこか....
妖婆」より 著者:岡本綺堂
たままで雪のなかに坐り込んでしまった。 酔っているのかどうかしたのかと、門番は潜り門をあけて出ると、それはかの石川房之丞であることが判った。石川はよほど疲れた....
けむりを吐かぬ煙突」より 著者:夢野久作
木立や、ナノミ、樫、椿、桜なぞの混淆林の一部が、高い黒土塀とがっちりした欅造りの潜り門に囲まれて正門内の貸家とも、又は、附近の住宅ともかけ離れた別世界を形づくり....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
る、宏壮な屋敷の構造は、大旗本の下屋敷ふうで、その正面には大門がありそれと並んで潜り門があり、土塀がグルリと取り巻いていた。おびただしいまでに庭木があって、いず....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
と三奉行が天下の大事を評定する重い役所で、公事裁判もする。 寄合場大玄関の左の潜り門のそばに門番が三人立っている。ジロリと顎十郎の服装を見て、 「遠国公事だな....
我が円朝研究」より 著者:正岡容
間《ひあわい》のような所にそういう路次の入口があり、時にはその入口にちょっとした潜り門のようなものが附いていて、奥の長屋に住んでいる人々の表札が並べて掲げてある....
鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
しばらくそこでお待ち願いたい」 いたって気軽に頷いた旅川周馬、腰から鍵をだして潜り門を開け、中へ入ってお十夜にちょっと笑ってみせたが、門を閉めてスウとどこかへ....
童子」より 著者:室生犀星
た。重かった。と、きゅうにそんな事をしているまに、私はむやみに悲しくなって来て、潜り門から家へ飛び込んだ。何という寂しい気もちだか。――そしてしばらくその気もち....
大岡越前」より 著者:吉川英治
裏菊の紋のついた大提灯がほのかに明りを投げている寛永寺裏門の袖塀をかすめ、小さい潜り門のうちへ、お袖のすがたは、吸いこまれるように逃げこんでいた。 「や、や。お....