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潤
「潤〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
潤の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
馬琴の眼は、この淡彩の寒山拾得《かんざんじっとく》に落ちると、次第にやさしい
潤いを帯びて輝き出した。
「いつもながら、結構なお出来ですな。私は王摩詰《おうま....
「文放古」より 著者:芥川竜之介
ふみお》ってあたしの従兄《いとこ》なのよ。これは永井荷風《ながいかふう》だの谷崎
潤一郎《たにざきじゅんいちろう》だのを読んでいるの。けれども少し話し合って見ると....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
ざしには、いつもの気味の悪い光がなくて、まるで涙ぐんででもいるような、もの優しい
潤いが、漂っているのでございます。それが祠の屋根へ枝をのばした、椎の青葉の影を浴....
「彼 第二」より 著者:芥川竜之介
いろ》に返り、彼の絶えず愛読している日本文学の話などをし出した。
「この間|谷崎
潤一郎《たにざきじゅんいちろう》の『悪魔』と云う小説を読んだがね、あれは恐らく世....
「路上」より 著者:芥川竜之介
》みを待つもののごとく、静に薄暗い空を仰いでいた。額にほつれかかった髪の下には、
潤《うるお》いのある大きな黒瞳《くろめ》が、じっと遠い所を眺めているように見えた....
「秋山図」より 著者:芥川竜之介
な傑作ですか? それはぜひ見たいものですが、いったい誰が持っているのです?」
「
潤州《じゅんしゅう》の張氏《ちょうし》の家にあるのです。金山寺《きんざんじ》へで....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
めを云いますと、お敏はようやく涙をおさめて、新蔵の膝を離れましたが、それでもまだ
潤み声で、「それは長い間でしたら、どうにかならない事もございますまいが、明後日の....
「或る女」より 著者:有島武郎
、心の切《せつ》なさを表わす適当の言葉を案じ求めているらしかったが、とうとう涙に
潤った低い声で、もう一度、
「葉子さん」
と愛するものの名を呼んだ。それは先ほ....
「或る女」より 著者:有島武郎
《さぎり》をこめた空気を通して、杉の葉越しにさしこむ朝の日の光が、雨にしっとりと
潤った庭の黒土の上に、まっすぐな杉の幹を棒縞《ぼうじま》のような影にして落として....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
泳協会だった。水泳協会に通ったのは作家の中では僕ばかりではない。永井荷風氏や谷崎
潤一郎氏もやはりそこへ通ったはずである。当時は水泳協会も芦の茂った中洲から安田の....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
。その人々や仕事を取り囲んでいた大きな世界もある。或る時にはその上を日も照し雨も
潤した。或る時は天界を果から果まで遊行する彗星が、その稀れなる光を投げた。或る時....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
。 『私は一冊の手帳を求め、平生これを懐中して居るようにした。そうすると霊気が浸
潤して、筆の運びが迅いからである。敲音なども、平生使い慣れた卓子には早く起り、又....
「江口渙氏の事」より 著者:芥川竜之介
心もちがする。同じ病的な酷薄さに色づけられているような心もちがする。描写は殆谷崎
潤一郎氏の大幅な所を思わせる程達者だ。何でも平押しにぐいぐい押しつけて行く所があ....
「久保田万太郎氏」より 著者:芥川竜之介
僕の知れる江戸っ児中、文壇に縁あるものを尋ぬれば第一に後藤末雄君、第二に辻
潤君、第三に久保田万太郎君なり。この三君は三君なりにいずれも性格を異にすれども、....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
た。道ばたに三本立っている見あげるような樅の木までが、まるで泣いてでもいるように
潤んで見えた。が、呼べど呼べど、応える声はなかった。けれども車大工には気のせいか....