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潤み
「潤み〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
潤みの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
めを云いますと、お敏はようやく涙をおさめて、新蔵の膝を離れましたが、それでもまだ
潤み声で、「それは長い間でしたら、どうにかならない事もございますまいが、明後日の....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
横倒しにどうと倒れた。痙攣的《けいれんてき》に後脚で蹴《け》るようなまねをして、
潤みを持った眼は可憐《かれん》にも何かを見詰めていた。
「やれ怖い事するでねえ、....
「汽笛」より 著者:佐左木俊郎
優しい声で。そして彼は急速力で走り出した機関車の窓から顔を出して場内を見返った。
潤み霞《かす》んだ眼には停車場の赤や青の燈火が水に映《うつ》る影のように暈《ぼや....
「旧主人」より 著者:島崎藤村
りあり》と解りました。智慧《ちえ》の深そうな目の御色も時によると朦朧《どんより》
潤みを帯《も》って、疲れ沈んで、物を凝視《みつめ》る力も無いという風に変ることが....
「藁草履」より 著者:島崎藤村
胸一ぱいになる。 しばらく二人は無言でした。 「貴方もあんまりだ」 とお隅は
潤み声でいう。源は怒を帯びた鋭い調子で、 「何があんまりだよ」 「だって、あんま....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
吸と共に微細に震えていた。「クララの光の髪、アグネスの光の眼」といわれた、無類な
潤みを持った童女にしてはどこか哀れな、大きなその眼は見る事が出来なかった。クララ....
「食魔」より 著者:岡本かの子
れは乙女の娘生のこころを玉に凝らしたかのよう、ぶよぶよ透けるが中にいささか青春の
潤みに澱んでいる。それは和食の鯛の眼肉の羮にでも当る料理なのであろうか。老人は恭....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
電気ストーヴをつけて部屋を暖かくしながら、障子をもう一枚開け拡げて、月の出に色も
潤みだしたらしい不忍の夜の春色でわたくしの傷心を引立たせようとした逸作も遂に匙を....
「雪たたき」より 著者:幸田露伴
手答のある言葉も無いのに堪えかねたか、やがて少し頭を擡げた。燐みを乞う切ない眼の
潤み、若い女の心の張った時の常の血の上った頬の紅色、誰が見てもいじらしいものであ....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
来ではどちらやかてなさそうな。」 と軽口に、奥もなく云うて退けたが、ほんのりと
潤みのある、瞼に淡く影が映した。 「ああ、わやく云う事やない。……貴方、その疵、....
「竹の木戸」より 著者:国木田独歩
前が開て膝頭が少し出ていても合そうとも仕ない、見ると逆上せて顔を赤くして眼は涙に
潤み、頻りに啜泣を為ている。 「どうしたと云うのだ、え?」と磯は問うたが、この男....
「桃のある風景」より 著者:岡本かの子
めていると、紅い一面の雲のような花の層に柔かい萌黄いろの桃の木の葉が人懐かしく浸
潤み出ているのに気を取り倣されて、蝙蝠傘をすぼめて桃林へ入って行った。 思い切....
「売春婦リゼット」より 著者:岡本かの子
動く。そういうあたりまえのことにひょいと気がつくと何とも知れない涙が眼の奥から浸
潤み出るのだ。いつかもこういう事があった。 掛布団の端で撥ねられた寝床人形が床....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
様子であった。お北は盃を握りしめていた。上瞼が弓形を作り、下瞼が一文字をなした、
潤みを持った妖艶な眼は、いわゆる立派な毒婦型であったが、今はその眼が洞のように、....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
を預ったつもりになりなさい。元来、大事な預り物ゆえ、少しくらい嵩張ろうが、汁が浸
潤み出ようが、そっくりそのまま大事に預って置く。それともう一つ、こういう気持ちが....