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潤沢
「潤沢〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
潤沢の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
たものだった。
一月の末になって木村からははたして金を送って来た。葉子は倉地が
潤沢につけ届けする金よりもこの金を使う事にむしろ心安さを覚えた。葉子はすぐ思いき....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
、星のことに明るい僧侶について、自分の誕生日における諸星の位置を尋ねる。そうして
潤沢な見料と引換に、自分の運勢の大要を教わるのである。何か一つの企てをある決まっ....
「渾沌未分」より 著者:岡本かの子
窓を開けた。雨上りの夜の天地は濃い墨色の中にたっぷり水気を溶して、艶っぽい涼味が
潤沢だった。下げ汐になった前屈みの櫓台の周囲にときどき右往左往する若鰡の背が星明....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
は右様のものこれなく候。 ――当時の風習は世界一統の睦まじきことを心がけ、一方の
潤沢を一方に移し、何地も平均に相成り候よういたし候ことに御座候。たとえば、英国に....
「駆逐されんとする文人」より 著者:内田魯庵
声名を維持するには常に頭脳を養うに努力しなけりゃならず、頭脳を養うには矢張資本の
潤沢を要する。 ▲文人は競馬の馬のようなものだ。常に美食していないと忽ち衰えて....
「呉秀三先生」より 著者:斎藤茂吉
、「人既ニ生ルレバ皆各其体質アリ。筋骨強堅ニシテ肩広ク胸瞠大ニ毛髪|叢生シ、膚色
潤沢ニ歯整ヒ且強ク、臓腑|善ク発達スルモノ之ヲ強壮ノ体質トシ、之ニ反スルヲ羸弱ノ....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
もしれなかった。とにかく、完璧な美人タイプに列し得られる。白粉気がなく、癖のない
潤沢な黒髪を、無造作に束ねているので、たいへん清楚な感じがした。 「話って、それ....
「私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
者と弱者の対立、都会におけるその一つの例は百貨店と小商人との対立である。百貨店は
潤沢な資本と、合理的な経営方法とによって、顧客をどしどし吸いつけている。このアメ....
「香熊」より 著者:佐藤垢石
りこれは熊掌ではありません。羆の脊肉です。元来熊肉料理は肋肉を尤もとし、その脂肪
潤沢に乗ったところを賞味するのですから、脊肉では至味とは言えません。けれど、料理....
「くぐつ名義考」より 著者:喜田貞吉
の製作材料は違っているが、叺様に作る点においては同一であって、かつて莎草の供給の
潤沢であった時には、もっぱらそれで作ったものであろう。その材料としては、蒲または....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
のだった。それだからこそ彼女は国を治めるという乙な味覚を充分に楽しむことができ、
潤沢な権力を思うさま使って事を決裁することもでき、それゆえにまた、いつまでも衡を....
「文章を作る人々の根本用意」より 著者:小川未明
字の面を修飾し誇張しようとする弊である。 修飾や誇張は、その人の思想感情が真に
潤沢になり豊富になり、熱情を帯びるに至った際に初めて借りるべき一手法である。何等....
「民衆芸術の精神」より 著者:小川未明
なければならないと信じます。 共産制度の世界に到達して、生産の豊富から、物資の
潤沢をのみ夢むような輩は、尚お、心にブルジョアの、安逸と怠惰の念が抜けきらないか....
「特殊部落の成立沿革を略叙してその解放に及ぶ」より 著者:喜田貞吉
自分らは常に農家で品物を仕入れて、それを市街地で売っているのであるが、その品物が
潤沢でありさえすれば、一般世間の人々と同様に売ってもくれるけれども、品が少い時に....
「春の大方山」より 著者:木暮理太郎
き仕合せであった。南に面した座敷からは、一目に裾野が見渡された。村では水が極めて
潤沢に流れている。それが村を離れると直ぐ地下水となって、一里余り南の猪之頭で再び....