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「潤色〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

潤色の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
在そのものと混同することが出来ないのだ。私はまた平安を欲すると共に進歩を欲する。潤色(elaboration)を欲すると共に創造を欲する。平安は既存の事体の調節....
河明り」より 著者:岡本かの子
く忘れて仕舞い、二人の間の若い情緒的なものばかりを引抽いて、或は空想して、それに潤色し、自分の老いの気分に固着するのを忘れ、現在の殻から一時でも逃れて瑞々しい昔....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
し共の捕物の方から云えば、たいして面倒な事もありませんでした」 「これに幾らかの潤色を加えると、まったく面白い小説になりそうですね」と、私は云った。 「なにぶん....
聖アレキセイ寺院の惨劇」より 著者:小栗虫太郎
る音しか立たんわけだよ。」 「すると、君の云う二度目の鐘は。」 「フフフ、あれは潤色的な出来事さ。」熊城は洒々として鐘声排除説を主張した。「なるほど、鐘に直接触....
新ハムレット」より 著者:太宰治
中第七節、朗読劇の台本は、クリスチナ・ロセチの「時と亡霊」を、作者が少しあくどく潤色してつくり上げた。ロセチの霊にも、お詫びしなければならぬ。 最後に、此の作....
カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
はずかしめられた良人という滑稽《こっけい》な役割を演じたり、あまつさえ、いろんな潤色まで施して自分がこうむった凌辱《りょうじょく》を事こまかに描き出して見せるの....
在学理由」より 著者:豊島与志雄
そして李が語るところに依れば、あの飲み屋は、彼がちょいちょい立寄るおでん屋を潤色したものらしく、「おやじ」とも面識があり、殊にその息子とは懇意にしている。親....
潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
章が表われているように思われたからである。 この暗い神秘的な事件の蔭には、その潤色から云っても、迷信深い犯人の見栄を欠いてはならないのではないか。 しかし、....
鴉片を喫む美少年」より 著者:国枝史郎
り、故郷の友人吉田惣蔵へ、数回長い消息をした。その消息を現代文に書きかえ、敷衍し潤色したものがこの作である。――作者附記) 友よ、今日は「鴉片を喫む美少年」の....
回想録」より 著者:高村光太郎
去の事実を屡々記憶のうちに喚び醒しているうちに、吾々は回想の中にその事実を次第に潤色し、いつかそれが本当の事実だと記憶して了うような場合も少くない。子供の時分か....
ばけものばなし」より 著者:岸田劉生
妖怪等というものは、人間の神秘的要求、恐怖本能、等から生れた空想を一層興味を以て潤色し工風した一種の恐怖的な神秘詩なのだから、人間の一面には、この化物を愛好し、....
犬神」より 著者:小酒井不木
せて居るのである。私はただ事実のありのままを書くだけであって、決して少しの誇張も潤色もしないつもりであるが、読者は、こんな話はあり得べからざることだと思われるか....
穂高岳槍ヶ岳縦走記」より 著者:鵜殿正雄
の、果ては、広大無限、不可思議の宇宙を造り、その間には、日月星辰山川草木と幾多の潤色がしてある。今我が立てる処もまたその撰にもれぬ。人為では、とてもそんな真似は....
飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
勿論、僕は足下に対して、単にこの材料の調書を提供するに過ぎない。之を小説風に潤色して、更に読者の前に提供するのは、即ち足下の役目である。宜しく頼む。 XY生....
日本歴史の研究に於ける科学的態度」より 著者:津田左右吉
ごろのこういうことを主張するものは、国学者の考えたように、漢文で書かれシナ思想で潤色せられているという理由で『日本紀(書紀)』を排斥することはせず、却ってそれを....