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潦
「潦〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
潦の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「梓川の上流」より 著者:小島烏水
のような、玄《くろ》ずんだ水溜りは、川流が変って、孤り残された上へ、この頃の雨で
潦《にわたずみ》となったのであろう、その周囲には、緑の匂いのする、黴《かび》の生....
「女の決闘」より 著者:太宰治
塊になって見えて来た。灰色の、じっとして動かぬ大空の下の暗い草原、それから白い水
潦《みずたまり》、それから側のひょろひょろした白樺の木などである。白樺の木の葉は....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
、あるいはぽたぽたと滴《したた》りたる、その痕《あと》は八畳の一間にあまねく、行
潦《にわたずみ》のごとき唐紅《からくれない》の中に、数箇所の傷を負いたる内儀の、....
「冬の蠅」より 著者:梶井基次郎
な掟《おきて》を――待つようになった。それは日が地上を去って行ったあと、路の上の
潦《みずたまり》を白く光らせながら空から下りて来る反射光線である。たとえ人はその....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
あり、百五十年に至りて、環脳に転ず、能く形を隠すなり、王相の『雅述』にいわく兎は
潦を以て鼈と為《な》り鼈は旱を以て兎と為る、※惑《けいわく》明らかならざればすな....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
ものである。 胡人の※の水を払う者|涵澹然たり(八) また新治の地なる者暴雨|流
潦の経る所に遇うがごとし(九) 第四章はもっぱら茶器の二十四種を列挙してこれに....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
と思いながら、私共はそれを潜った。春雨を豊かに吸うた境内の土、処々に侘しく残った
潦、古めかしい香いのする本堂、鬱然として厳しく立ち並んだ老木の間には一筋の爪先き....
「文士としての兆民先生」より 著者:幸徳秋水
の如き建設物は一個も有ること無し。地上の熱度漸く下降し草木漸く萠生し那辺箇辺の流
潦中若干原素の偶然相抱合して蠢々然たる肉塊を造出し、日照し風乾かし耳目啓き手足動....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
手でつかつかと歩行き出した。 その後を水が走って、早や東雲の雲白く、煙のような
潦、庭の草を流るる中に、月が沈んで舟となり、舳を颯と乗上げて、白粉の花越しに、す....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
間界へ立帰るごとくに見えた。 池は小さくて、武蔵野の埴生の小屋が今あらば、その
潦ばかりだけれども、深翠に萌黄を累ねた、水の古さに藻が暗く、取廻わした石垣も、草....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
辺に群れゐつつ吾が哭く涙止む時もなし」(巻二・一七七)、「御立せし島を見るとき行
潦ながるる涙止めぞかねつる」(巻二・一七八)ぐらいに行くのが寧ろ歌調としての本格....
「日和下駄」より 著者:永井荷風
あいそめがわ》の如き、かかる溝川流るる裏町は大雨《たいう》の降る折といえば必ず雨
潦《うりょう》の氾濫に災害を被《こうむ》る処である。溝川が貧民窟に調和する光景の....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
メフィストフェレス
己はもう誰にも見られぬようにせんではならぬ。
地獄の水
潦で悪魔を威す姿だからな。
(退場。)
(月天の頂点に懸かる。)
....
「女の決闘」より 著者:オイレンベルクヘルベルト
塊になって見えて来た。灰色の、じっとして動かぬ大空の下の暗い草原、それから白い水
潦、それから側のひょろひょろした白樺の木などである。白樺の木の葉は、この出来事を....
「古事記」より 著者:太安万侶
につきました。その臣は紅い紐をつけた藍染《あいぞめ》の衣を著ておりましたから、水
潦《みずたまり》が赤い紐に觸れて青が皆赤くなりました。そのクチコの臣の妹のクチ姫....