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潮先
「潮先〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
潮先の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「朝の風」より 著者:宮本百合子
えはじめたということはとりも直さず、それにつづいてもっと大きな変化がおこって来る
潮先の徴候であった。 春になると、改正道路の裏にある腐れかけの四軒長屋の一区画....
「昭和の十四年間」より 著者:宮本百合子
す描かれるべき農村状態の緊張の高まりと共に忽ち方向を転換して次の年には南洋進出の
潮先に乗って海洋文学懇話会というものに変ったのは、まことに滑稽な悲惨事であった。....
「婦人の読書」より 著者:宮本百合子
誌はむずかしすぎるという目で迎えられ、日本の婦人の社会生活の全局から見れば、その
潮先ははやくつよく進み出ているが、重くひろくくらい襞々をたたんだその裾は伝統のな....
「人民戦線への一歩」より 著者:宮本百合子
、警視庁が「板橋事件」重視しているということと、一層強くなっている食糧人民管理の
潮先とが、並んで一枚の紙面を埋めているのである。宮城地方では、農民が「隠匿油罐を....
「嵐」より 著者:寺田寅彦
近寄ったのも気が付かぬか、一心に拾っては砂浜の高みへ投げ上げている。脚元近く迫る
潮先も知らぬ顔で、時々頭からかぶる波のしぶきを拭おうともせぬ。 何処の浦辺から....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
肯定して、一つの推進を示しているとともに、そのこと自身すでに自然主義へうつりゆく
潮先を暗示するものであったこと、晶子の自然発生の感性の発揚は、しかし文学上の自覚....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
。いやで目ざわりで、そら又近づいたときらっていたごたごたした岸はいつかはなれて、
潮先が、地球の規律にしたがってさしひきしているその沖に、今や航行中という感じは、....
「樹氷」より 著者:三好十郎
代言みてえなご亭主とも旦那ともつかねえ男と一緒にやって来たり。つい、向うの境涯の
潮先と金吾の方の
潮先とが出会うということがねえだなあ。そうしちゃ春子さまはまた東....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
るころとなれば、さすがに心おもしろからずようやく癇癪の起り起りて耐えきれずなりし
潮先、据えられし晩食の膳に対うとそのまま云いわけばかりに箸をつけて茶さえゆるりと....
「扉の彼方へ」より 著者:岡本かの子
、しかし沖のかたに潮満ち寄せる日中の白帆の群が介殻を立て並べたように鋭く閃めき、
潮先の泡に向って飜り落ちてはまた煽ぎ上る鴎の光って入乱れる影が、ふと眼に入ると、....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
、聞えた。 彼が、門櫓に立ち、狭間をひらいて、弓をしぼり始めた頃は、すでに敵は
潮先みたいにひたひたと近づき寄って、 「代々の北条殿の恩顧もわすれ、大それた逆を....