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「潮干〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

潮干の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
の営みをしていた。葉子は不思議なものを見せつけられたように茫然《ぼうぜん》として潮干潟《しおひがた》の泥《どろ》を見、うろこ雲で飾られた青空を仰いだ。ゆうべの事....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
「はっきりいいなよ、遊んだことでもあるのかい」 「いいえ、その、なんですよ、去年潮干狩りに行ったとき、おれもこういういきな家で、五、六日しみじみと昼寝をしてみた....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
月三日で大潮にあたるというので、老人は近所の人たちに誘われて、ひさしぶりで品川へ潮干狩に出かけると、花どきの癖で午頃から俄か雨がふり出して来た。船へ逃げ込んで晴....
紅黄録」より 著者:伊藤左千夫
由を告げた。しかしお光さんはやはり気もみをしているのであった。 このごろの朝の潮干は八時過ぎからで日暮れの出汐には赤貝の船が帰ってくる。予らは毎朝毎夕浜へ出か....
食魔」より 著者:岡本かの子
はてな。これもまた何かの仕掛かな。 大根のチリ鍋は、とっくに煮詰って、鍋底は潮干の潟に芥が残っているようである。台所へ出てみると、酒屋の小僧が届けたと見え、....
栄螺」より 著者:田畑修一郎
中国地方の花崗岩の地質のためか、海岸はいわゆる白砂で、水もきれいだ。東京で羽田の潮干狩に行って汚いのにこりた。そのためもあるが、東京に住みついてから十一年ばかり....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
詣、三峰かけて榛名詣、汽車と草鞋で遊んで来る講中の者も少くない。子供連れて花見、潮干に出かける村のハイカラも稀にはある。浮かれて蝶が舞いはじめる。意地悪の蛇も穴....
艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
にとってどちらでもいいのだ。 蟹は唯反抗し、威嚇さえすれば、それで充分なのだ。潮干狩の季節が来た。 潮干狩に往って、貝を拾い、魚を獲るのは、それぞれ異った興....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
、人の世の旅路のあわれを、つくづくと思いやったものに違いありません。いかに鳴海の潮干潟……ほんとに、この海が、どのくらい、古代の旅人を悩ませたかわからない」 と....
鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
裏戸出づれば桂川 古雛の衣や薄き夜の市 盃の花押し分けて流れけり 堀止めのこゝも潮干や鰌掘り 出代りて此処に小梅の茶見世かな 涅槃繪の下に物縫ふ比丘尼哉 曇る日....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
のだが、上の句が似ている。 ○ 桜田へ鶴鳴きわたる年魚市潟潮干にけらし鶴鳴きわたる 〔巻三・二七一〕 高市黒人 黒人作。※旅八首の一。「....
釣り師の心境」より 著者:坂口安吾
終戦の年の五月の頃であったが、私は焼野原をテクテク歩いて、羽田の飛行場の海へ、潮干狩りに行った。四面焼け野原となって後は、配給も殆どなく、カボチャや豆などを食....
光り合ういのち」より 著者:倉田百三
的な、美しさだろう! 彼女が神代の女性の神々しさと竜女の不思議をひとつにこめて、潮干る珠、潮満つ珠を両手にささげ持ってあらわれた。彼女の眸はまさしく遠い水平線の....
くぐつ名義考」より 著者:喜田貞吉
い縄を以て編んだ袋の事で、傀儡の漢字とは直接の連絡はない。 古くは万葉集巻三の、潮干の、みつの海女のくゞつ持ち、玉藻刈るらんいざ行きて見む。 といふ歌から、近く....
ロザリオの鎖」より 著者:永井隆
、外面は灰色で粗野である。内面は美しい肉色でつるつる光っている。これをとるのには潮干のとき沖遠くまで出ねばならぬ。首まで、いや鼻の孔すれすれまでに海につかって、....