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潮時
「潮時〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
潮時の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
こむように見やりながら、いつもの少し渋いような顔をしてほほえんだ。
葉子はいい
潮時を見計らって巧みにも不承不承《ふしょうぶしょう》そうに倉地の言葉に折れた。そ....
「星座」より 著者:有島武郎
遠慮するらしい様子が見えた。
この辺でこっちが今度は切りだす番だ。ちょうどいい
潮時だと人見は思ったが、園に向っていると変にぎごちない気分が先き立った。彼は自分....
「Kの昇天」より 著者:梶井基次郎
影の彼に導かれつつ、機械人形のように海へ歩み入ったのではないでしょうか。次いで干
潮時の高い浪がK君を海中へ仆《たお》します。もしそのとき形骸に感覚が蘇《よみが》....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
照吉|姉さんが亡くなるんじゃなくッて)ッて、少し震えながらお三輪が言うと、 (引
潮時だねちょうど……)と溜息をしたは、油絵の額縁を拵える職人風の鉄拐な人で、中で....
「死の快走船」より 著者:大阪圭吉
の多い波打際に降り立った。 二 恰度これから午後にかけて干
潮時と見え、艶のある引潮の小波が、静かな音を立てて岩の上を渫っていた。 キャプ....
「海」より 著者:梶井基次郎
い努力を語るものだった。 暗礁に乗りあげた駆逐艦の残骸は、山へあがって見ると干
潮時の遠い沖合に姿を現わしていることがあった。....
「毒瓦斯発明官」より 著者:海野十三
はい承知いたしました」 燻精には、何やら腑におちかねる点もあったが、今が引揚の
潮時だと思ったので、博士をいい加減にあしらった。着換えをすますと彼は博士の前に出....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
は、あんた忘れてネ。あたし、どうかしていたのよ。いくらでも謝るわ」 お千はいい
潮時を外さず、愧ずかしそうに素直に謝った。 「うん、なァに、なんでもないさ。――....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
ているんでは、半分死んでいるのも同じだ。」 と欣七郎は笑って言った。 「春秋の
潮時でもござりましょうか。――大島屋の大きいお上が、半月と、一月、ずッと御逗留の....
「名士訪問記」より 著者:海野十三
あるのかもしれない。話をしているうちに、だんだんこわくなったので、この辺が引揚の
潮時だと、椅子から尻をあげた。どうやら、僕の敗退の巻らしい。....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
なる。 これは瑞兆だ。小さな魂が新しい肉体に宿って現われて来るには、またとない
潮時である。生れて来る子のために祝ってやれば、たったこれだけのことでも、瑞兆とい....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
送って出たお孝が紛れ込むように、降り来る雨に、一騒ぎ。そこらがざわめく人の足音、
潮時の往来の影。その賑な明るい燈の町へ向わずに、黒塀添いを傘で導く。 死出の山辺....
「火夫」より 著者:カフカフランツ
うまくこの一件に口を出していくことができるだろうか、と考えてみた。もうほんとうに
潮時だった。もうほんの少したったら、彼らは二人でうまく事務室から飛び出すことがで....
「城」より 著者:カフカフランツ
ぎって、「では、あさってね」と、いうのだった。
ハンスが出ていったのは、まさに
潮時だった。というのは、すぐそのあとで教師がドアをさっと開け、Kとフリーダとが落....
「早稲田神楽坂」より 著者:加能作次郎
角の交番の所に立ちどまって、左右を見廻しながら大袈裟に叫んだ。見ると今丁度人の出
潮時らしい、電車線路をはさんで明るく灯にはえた一筋路を、一方は寺町の方から、一方....