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澄
「澄〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
澄の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
お鈴の声は「離れ」に近い縁側から響いて来るらしかった。甲野はこの声を聞いた時、
澄み渡った鏡に向ったまま、始めてにやりと冷笑を洩《も》らした。それからさも驚いた....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
てているらしい。馬琴はいったん風呂を出ようとしたが、やめて、じっとその批評を聞き
澄ました。
「曲亭先生の、著作堂主人のと、大きなことを言ったって、馬琴なんぞの書....
「犬と笛」より 著者:芥川竜之介
も、追々《おいおい》我を忘れたのでしょう。始は洞穴の入口に耳をつけて、じっと聞き
澄ましていましたが、とうとうしまいには夢中になって、一寸二寸と大岩を、少しずつ側....
「影」より 著者:芥川竜之介
枝を交《かわ》した松の下には、しっとり砂に露の下りた、細い路が続いている。大空に
澄んだ無数の星も、その松の枝の重《かさ》なったここへは、滅多《めった》に光を落し....
「河童」より 著者:芥川竜之介
り上がった席に雌雄の河童が三四百匹、いずれもプログラムを手にしながら、一心に耳を
澄ませているのです。僕はこの三度目の音楽会の時にはトックやトックの雌の河童のほか....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
間にも、さらに乱れる容子《ようす》がなかった。蘭袋は眉をひそめながら、熱心に耳を
澄ませていた。が、やがて話が終ると、甚太夫はもう喘《あえ》ぎながら、「身ども今生....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
な眼つきをしていた。
「呼んでいる?」
牧野は思わず足を止めると、ちょいと耳を
澄ませて見た。が、寂しい往来には、犬の吠える声さえ聞えなかった。
「空耳《そらみ....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
―」
洋一は父の言葉を聞くと、我知らず襖《ふすま》一つ向うの、病室の動静に耳を
澄ませた。そこではお律《りつ》がいつもに似合わず、時々ながら苦しそうな唸《うな》....
「或恋愛小説」より 著者:芥川竜之介
》え冴《ざ》えしたちょっと唇《くちびる》に癖のある、――まあ活動写真にすれば栗島
澄子《くりしますみこ》の役所《やくどころ》なのです。夫の外交官も新時代の法学士で....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
た。さざ波は足もとへ寄って来るにつれ、だんだん一匹の鮒《ふな》になった。鮒は水の
澄んだ中に悠々と尾鰭《おひれ》を動かしていた。
「ああ、鮒が声をかけたんだ。」
....
「運」より 著者:芥川竜之介
り陀羅尼三昧《だらにざんまい》でございます。が、何と云っているのだか、いくら耳を
澄ましても、わかりませぬ。その時、何気なく、ひょいと向うを見ると、常夜燈《じょう....
「さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
赤く残っている。が、眼《め》だけは、ふだんと少しも変りがない。「日頃のように青く
澄んだ御眼《おんめ》」は、悲しみも悦びも超越した、不思議な表情を湛えている。――....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
ァラデーはその通りにして熱して見たら、ガラス管の内には、液体が二つ出来た。一つは
澄んで水のような物で無色である。他は油のような物であった。デビーの友人のパリスと....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
、その辺の闇のなかで呻くような声が幽かに聞えるようだった。彼はながい間じッと耳を
澄して聞いていた。ある時は右の方に、またある時は左の方に、絶えず何かしら聞えるよ....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
。力一杯締めつけた。子供は怖い眼で私を睨んだ。何という眼だろう。まん円で、深く、
澄んでいて、私はぞッとした。私は今日が今日まで、この時ほど残忍な感動を経験したこ....