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澄む
「澄む〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
澄むの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
な物音を立てているのに、清逸の部屋の中は秋らしくもの静かだった。清逸は自分の心の
澄むのを部屋の空気に感ずるように思った。
やはりおぬいさんは園に頼むが一番いい....
「武蔵野」より 著者:国木田独歩
な》う。林の奥に座して四顧し、傾聴し、睇視し、黙想す」
十一月四日――「天高く気
澄む、夕暮に独り風吹く野に立てば、天外の富士近く、国境をめぐる連山地平線上に黒し....
「桜の樹の下には」より 著者:梶井基次郎
一種神秘な雰囲気を撒き散らすものだ。それは、よく廻った独楽《こま》が完全な静止に
澄むように、また、音楽の上手な演奏がきまってなにかの幻覚を伴うように、灼熱《しゃ....
「城のある町にて」より 著者:梶井基次郎
。そこに限って気韻が生動している。そんなふうに思えた。―― 空が秋らしく青空に
澄む日には、海はその青よりやや温い深青に映った。白い雲がある時は海も白く光って見....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
通合わせた自動車に、消えて乗って、わずかに三分。…… 宿へ遁返った時は、顔も白
澄むほど、女二人、杓子と擂粉木を出来得る限り、掻合わせた袖の下へ。――あら、まあ....
「若菜のうち」より 著者:泉鏡花
の波である。 預けた、竜胆の影が紫の灯のように穂をすいて、昼の十日ばかりの月が
澄む。稲の下にも薄の中にも、細流の囁くように、ちちろ、ちちろと声がして、その鳴く....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
茸は膝をついた。 返す手で、 「焼きくおう。焼きくおう。」 鼻筋鋭く、頬は白
澄む、黒髪は兜巾に乱れて、生競った茸の、のほのほと並んだのに、打振うその数珠は、....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
番 「オイオイ若いの。オイ若いの」 ※かくばかり経高く見ゆる世の中に、羨ましくも
澄む月の、出汐をいざや汲もうよ…… 「オイオイ若いの。オイ若いの」 ※影はずかし....
「多神教」より 著者:泉鏡花
肉のように裂けてある。これ、寄るまい。(この時人々の立かかるを掻払う)六根清浄、
澄むらく、浄むらく、清らかに、神に仕うる身なればこそ、この邪を手にも取るわ。御身....
「茶の湯の手帳」より 著者:伊藤左千夫
ての要求は、力殊に金銭の力を以て満足せらるるものと、浅薄な誤信普及の結果である。
澄むの難く濁るの易き、水の如き人間の思潮は、忽ちの内に、濁流の支配する処となった....
「五右衛門と新左」より 著者:国枝史郎
」ということを酷く嫌った。 「欲在前忽然而在後」これでなければならなかった。 「
澄む月は一つなれども更科や田毎の月は見る人のまま」 こうでなければならないので....
「おせん」より 著者:邦枝完二
屋の中で、おせんはもう一|度、じっと鏡の中を見詰めた。底光のする鏡の中に、澄めば
澄む程ほのかになってゆく、おのが顔が次第に淡く消えて、三日月形の自慢の眉も、いつ....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
がわなわなと震えるのは、どうも踊るような自分の手で。――覚悟をすると、婦は耳も白
澄むばかり、髪も、櫛も、中指も、しんとするほど静です。 「誰だ!」 どころじゃ....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
のですね。
主
なるほど、あれは今の処で夢中で奉公しているが、
早晩心の
澄む境へ己が導いて行って遣る。
見い、植木屋でも、緑に芽ぐむ木を見れば、
翌年は....
「木に上った子供」より 著者:小川未明
の空は近いな。」と、ほかの子供の一人がいいました。 「先生が、秋になると、空気が
澄むから近く見えるのだといったよ。」と、木の頂が天についていないと反対した子供は....